2018年 06月 11日
フィリップ・ジャルスキーの「オルフェオとエウリディーチェ」を聞く |
6月5日、カタルーニャ音楽堂で、待ちに待ったフィリップ・ジャルスキーの グリュック作曲「オルフェオとエウリディーチェ」のコンサートがありました。
コンサートの後はサイン会はなかったので、関係者出口に行きますと、すでにたくさんの人が待っていました。列など作っていなくて、ジャルスキーが出てきたときは、みんな我先にとごちゃごちゃと取り囲み、やっと番が来たと思ったら、後ろにいたマダムが彼の背をたたき、話し込んでしまったので、何も話はできませんでした。 でも写真だけ撮らせてもらいましたよ。 スペイン人の図々しさにいい加減あきれて外に出ると、黒塗りの車が止まっていました。 きっとこれはジャルスキー達を待っているのでしょう。 友人が、どこに行くのか聞くと、ホテルの名前を教えてくれたのです。そういうことは言っちゃいけないんじゃないのかしらね? それにしても5つ星ホテルでなかったのは意外でした。
コンサートは本当に素晴らしくて、胸がいっぱいになりました。いい夜でした。
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チケットを購入した時は最前列だったので、もう少し後ろがいいなと思っていたら、イギリスの友人スーザンがいけなくなったので、そのチケットを譲ってもらうことができましたが、6列目と書いてあったけれど、実際は2列目で、初めのチケットより一列後ろだけで、やっぱり首が痛くなりました。
グリュックのこのオペラは、1762年のオリジナル版ということです。
オーケストラの前奏が終わり、コーラスが歌い終わると、ジャルスキーが黒いスーツに白のシャツに黒の細いネクタイとコンサート用の服で、真っ赤なバラを一本持って、泣きそうな顔で登場。
そのバラを床に置くと、「エウリディーチェ、エウリディーチェ」 と歌い始めました。その悲痛な声には思わず涙を誘われました。
アモール役のエメーケ・バラはいつもとてもさわやかな素敵な声で好きなソプラノ。エウリディーチェをうたったシャンタル・サントンはドラマチックなソプラノで、黄泉の国に迎えに来たオルフェオが、アモールの言いつけに従って、彼女の顔も見ず、抱きもしないことを激しく攻めるのです。とうとう耐えられなくなったオルフェオがエウリディーチェを抱くと、彼女はその場で息絶えてしまいます。
そのあたりのやり取りがはらはらさせられます。
そのあとうたわれるオルフェオの有名なアリア "Que faro senza Euridice?" は、あんなに悲しく美しく歌われたのを聞いたのは初めてでした。好きなアリアでもなかったのに、大好きになりました。
グリュックのオペラですと、最後、エウリディーチェは息を吹き返し、ハッピーエンドになるのです。
何となく、モンテヴェルディのオルフェオを見慣れていると、エウリディーチェはそのまま黄泉の国の人になってしまうので、あれ?という感じがしてしまいました。
ジャルスキーはほぼ初めから終わりまで歌い通し、輝きのある声で表現される悲しみを聞き手に伝えてくれました。
グリュックのこのオペラ、ほかの国ではちゃんとオペラとして素晴らしい演出で上演しているのに、バルセロナだけコンサート形式。残念、と思っていたら、歌手3人とも演技をつけて歌ったので、ほとんどオペラを見ているようで満足度の高いものでした。
今回の指揮はファゾリスではなくアンドレア・マルチオルという小柄な指揮者でちょっと残念でしたが、きびきびとしたイタリアの音を感じました。
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by gyuopera
| 2018-06-11 06:17
| オペラ、コンサート musica
|
Comments(2)
Commented
by
yokodak
at 2018-06-12 00:10
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相変わらず迫力のある内観のカタルーニャ音楽堂!オルフェオはコンサート形式だったとのことですが、楽しまれたようですね♪
ジャルスキーの歌うこのナポリ版オルフェオのCDを聴きましたが”Que faro”を歌う慈しみのこもった優しい声は本当に美しく、悲しく、私も大好きなアリアになったのを思い出しました。コンサート後はお話出来ず、感想をお伝え出来なかったのは残念でしたね。
バルセロナ公演ではファゾリスとイ・バロッキスティではなかったのは意外でしたが、演奏もなかなか良かったご様子。このマルチオルという指揮者は初めて知りました。アモル役のエメーケさんはもちろん、エウリディーチェ役の方もキャラクターにマッチしていたようで、聴き応えがあったのではないでしょうか。
相変わらず日本から羨むばかりなりです…。
ジャルスキーの歌うこのナポリ版オルフェオのCDを聴きましたが”Que faro”を歌う慈しみのこもった優しい声は本当に美しく、悲しく、私も大好きなアリアになったのを思い出しました。コンサート後はお話出来ず、感想をお伝え出来なかったのは残念でしたね。
バルセロナ公演ではファゾリスとイ・バロッキスティではなかったのは意外でしたが、演奏もなかなか良かったご様子。このマルチオルという指揮者は初めて知りました。アモル役のエメーケさんはもちろん、エウリディーチェ役の方もキャラクターにマッチしていたようで、聴き応えがあったのではないでしょうか。
相変わらず日本から羨むばかりなりです…。
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by
gyuopera at 2018-06-18 06:20
♪yokodakさん、コメントのお返事が遅れてすみませんでした。
PJがバルセロナに来てくれたことは何ともうれしく、本当に楽しめました。オーケストラはイ・バロッキスティだったのですが、指揮者はいつも補助役の方だったと聞きました。きびきびとした歯切れのよい、イタリアの音、という感じで素敵でした。
グリュックのオルフェオ、今まで歌ってきたPJのオペラの中でも特に彼の声に合って素晴らしいと思いました。
コンサート形式ではありましたが、十分堪能できました。
PJがバルセロナに来てくれたことは何ともうれしく、本当に楽しめました。オーケストラはイ・バロッキスティだったのですが、指揮者はいつも補助役の方だったと聞きました。きびきびとした歯切れのよい、イタリアの音、という感じで素敵でした。
グリュックのオルフェオ、今まで歌ってきたPJのオペラの中でも特に彼の声に合って素晴らしいと思いました。
コンサート形式ではありましたが、十分堪能できました。