オペラ ”Tiefland"

今夜は今シーズン初めてのオペラでした。

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今シーズンから、Abonoという、一年間のオペラのチケットを買うことにしました。そうすると、毎回同じ席で、少し割安になるのです。

リセウ劇場では、一つのオペラ上演が8~14回あります。そのうちの何回かは、おもに歌う歌手が違い、半額以下になる日があるのです。

たとえば、今回のオペラ”Tiefland"は、一番高い席が186.5ユーロ、次に高い席が132.75ユーロです。ところが、この安い日になると、それぞれ71ユーロと57.5ユーロ、というわけです。
安い日の歌手はぐっと劣るかというと、そんなことは全然なくて、高い日に歌う歌手と比べて、知名度が低いというくらいでしょうか。

今回のTieflandは、高い日よりも安い日のほうが、私のお気に入りの歌手たちが歌っていました。だから、Abonoも、全部安い日のほうを取りましたから、かなり安く上がりました。

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今日は初めてだったので、どのあたりの席かな、と思ったら、平土間のほぼ真ん中。 私の2列前に太った紳士が座ったと思ったら、オペラ評論家で有名なRoger Alierでした。

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さて、オペラです。

”Tiefland"(Tierra Baixa)(低い土地、と訳せばいいでしょうか)は、スペインのAngel Guimeraが1896年に書いた作品をもとに、Rudolph Lotharが脚本を書き、それに基づきEugen d'Albertが作曲したもので、1903年にプラハで初上演、リセウ劇場では1910年に初上演されています。

劇場内では写真撮影は禁止ですから、以下の写真はリセウ劇場のHPからお借りしています。

今回の上演は、チューリッヒ劇場のプロダクションです。

まず幕が上がると、手前に何やら大きな機械がおいてあって、ケースの中に4人の男性が、まるで見本のように立っています。

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本来なら、場所はピレネーの山の中のはず。上のスクリーンに山が映し出されています。
ケースの2番目にいるのがペドロ、羊飼いです。 素朴で一途な男です。僕の所にお嫁さんが来てくれる、と喜んで夢を語ります。

地主で金持ちのセバスティアーノがマルタという自分の愛人を連れてやってきて、このペドロと結婚するのだ、と言い渡します。 マルタはあんな男はいやだ、というのですが、主人の言うことに従わないわけにはいきません。

ペドロはマルタを一目見て恋に陥り、山を下りて、マルタと結婚して水車小屋の粉挽きになることを承諾ますが、羊飼い仲間のナンドは、下の世界は、憎しみや争いの絶えないところだと忠告します。


次の場面は水車小屋…のはずなのですが、モダンなオフィスの一室になっています。
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みんなかっこよく見えますが、原作では使用人の粉挽きと、女中たちです。
マルタが結婚するので驚いています。
マルタがセバスティアンの愛人であることはみんなが知っていますから、マルタの夫になるというペドロはきっとだまされているんだと噂をします。

そこに来たペドロ、さらにみっともない服装をみんなで笑います。
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白い衣装に身を包んだマルタに、セバスティアンは、これからもお前は私のものだ、といい、その夜来ることを誓います。

教会で結婚式を済ませて、また水車小屋(オフィス)に戻ってきた二人、初夜を過ごそうというのにマルタは知らん顔して机で書類など見ています。寝室を共にするのを嫌がったマルタですが、ペドロが羊の群れを狙うオオカミをナイフで倒したことを雄弁に話すのを聞きます。
彼女の部屋に明かりがつき、セバスティアーノが入ってきたことを知ったマルタですが、部屋に行くのをやめ、椅子に座ったまま寝てしまいます。ペドロも同じくそこの床にそのまま寝てしまいます。
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朝になって目を覚ましたマルタは着替えに消えます。目を覚ましたペドロはマルタを探しますが、掃除にきたヌリが、ここでは馬鹿にされるだけだからと、ペドロに山に帰るように勧めます。事情を知ったペドロはいらだち、ヌリの手をひいて出てゆこうとしますが、そこに来たマルタは、ヌリに嫉妬し、一緒に行くなと怒ります。

自分を心から愛してくれているペドロに、自分は値しないのだと悩むマルタは、幼少から人前で踊ってお金をもらうというつらい時代を経てきているのです。
ペドロに殺してくれと頼みますが、彼女を愛するペドロはそんなことはできるはずもなく、一緒に山に行こう、とマルタの手を取ります。
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そこにセバスティアーノが現れ、鞭を持ってマルタに踊れと命じます。そして、マルタに襲いかかると、マルタはペドロの名を叫んで助けを求めます。
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飛び込んできたペドロは、持っていたナイフを捨て、素手でセバスティアーノと戦い、彼を殺します。そして、山に行こう、とマルタと抱き合います。
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そしてペドロは、

「オオカミを殺したぞ!」

と叫ぶのです。


不協和音もたくさん出てくるのですが、曲は美しく、歌手たちもみんな素晴らしかったです。

私の見た日のPedro役はJeffery Dowd。 もう一人のPeter Seiffertのつんざくばかりの声よりもずっと品があってそれにスマートでカッコイイ! 彼のApolo(R.Straussのダフネ)や、ジークムント(ワルキューレ)を聞いていますから、彼のステージがまた見れて嬉しかった! ザイフェルトは、まるでパン屋のオヤジさんのようじゃありませんか。
マルタ役もStefanie Friede, チューリッヒで彼女のステージを何度も見ていて好きなソプラノです。 リセウの写真はいずれも別の歌手の写真で、私の見たときのほうが2人ともずっと素敵でした。

初めて見たオペラでしたが、思ったよりずっと楽しめました。

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Commented by じゅん at 2008-10-05 09:39 x
gyuさん、こんにちは。
先日、久しぶりに韓国出張へ行きました。
どんな陽気かな?と思いながら出かけたのですが、日本と全く同じ
でした。長袖のシャツを着ていれば快適、という感じでしょうか。

現地に赴任している日本人スタッフの方と夕食をご一緒したの
ですが、韓国人の特性についてこんなお話をしていました。

小さい子供を連れて外出すると、見知らぬ韓国人がおせっかい
なくらいいろいろと世話をやいてくれて本当に助かる、とのこと。

ご本人のお話では、思っていたよりは生活しやすい国という印象
だそうです。
物価も安いですし、今の日本よりは居心地が良いかもしれませんね。
Commented by otebox at 2008-10-05 10:23 x
リセウ劇場の1年間の定席!なんとすごいお話!オペラなど門外漢の私にも、すごく判り易い案内ありがとうございました。生で演奏に触れられる機会の多い方が、喝采されているのだからさぞかし素晴しい公演だったのでしょう。
前のカタルーニャ音楽堂の記事も目で楽しませていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。
Commented by grappa-tei at 2008-10-05 11:39
gyuさん、全く聞いた子もないオペラのご紹介、ご苦労さま。ストーリーまで解説されるのは大変なことですね。それにしても、これらの画像は?まさかご自分で公演中にお撮りになったわけではないですよね?しかし、やはりかなりのお値段なんですねー。オペラは高いですね。(嘆息)
Commented by gyu at 2008-10-05 15:56 x
♪ じゅんさん、こんにちは。また韓国出張だったのですね。
韓国に住むのも、居心地がいいというのはいいですね。みんな子供好きなのでしょうか。案外日本人のほうが冷たかったりしてね。
日本もだんだん住みにくくなっているのかもしれませんね・・・
少なくとも、私の小さなころは、みんな貧乏だったけれど、もっと人情味があってよかったんじゃないかなと思いますね。
Commented by gyu at 2008-10-05 16:07 x
♪ oteboxさん、こんにちは。 一年間の定席と言っても、全オペラじゃないんですよ。見たくないオペラもいくつもありますから、演目が一番少ないのを選びました。それで足りないものは、別に買いました。
オペラはかしこまって聞くコンサートと違って、ステージで演技がつくものですから、もっと娯楽の要素が強いと思います。それで一層楽しめるものだと思います。
この前書きました、チューリッヒ中央駅でのオペラ、全曲が見られます。普通の駅で上演しているわけですからとても面白いです。オペラにあまり興味がない方でもかなり楽しめると思います。
www.arte.tv/de/Videos-auf-ARTE-TV/2151166,CmC=2249306.html
Commented by gyu at 2008-10-05 16:19 x
♪ grappa-teiさん、こんにちは。このオペラは知名度が少なく、オペラの解説書に出ていなかったので、リセウ劇場のオペラのあらすじをかいつまんで訳しました。もちろん写真もリセウ劇場のものです。劇場内の撮影は禁じられています。
この席で、60ユーロしないというのは、ものすごく安いと思います。日本ではもっとずっとお高いのではありませんか?
私は毎年、9月の年間チケットを買うためにお金をためておくんですよ。私のたぶん唯一の贅沢だから・・・
Commented by otebox at 2008-10-05 17:56 x
オペラへの誘い、ありがたくおうけいたします。きちんと向き合える時間にアクセスしてみましょう。どきどきします。
私にとってオペラと言えばベローナでした。しかし、12時半まで頑張ってなお終わらぬアイーダをあとに、夜行の予約に急かされて、真夏の野外劇場をあとにしたのでした。あのときは、しんどかったです。これはあまりいい思い出じゃないですね。
Commented by gyu at 2008-10-05 19:11 x
♪ oteboxさん、再度のメッセージありがとうございます。
このArteの放送は、実際放映されたと同じものなので、画面もYoutubeよりずっときれいですし、全画面で見れ、好きな時に停めることもできるからとてもいいです。もう2度も見ました(笑)。
ベローナは収容人数が多いから大変でしょう。私もオランジュのローマ遺跡の中で観劇したことがあります。夏なのに夜は寒く、かなり前の席なのにステージは遠くて、やっぱりオペラハウスで見たほうがいいなと思ったものです。 
変わったところでは、船倉でのオペラというのも見ました。オペラでもいろんな形があり、要は自分がいかに楽しめるか?だと思います。
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by gyuopera | 2008-10-05 07:28 | オペラ、コンサート musica | Comments(8)

私と一緒にバルセロナを散歩しましょう Vamos a pasear conmigo en Barcelona!


by gyuopera