リセウ劇場のマスネの「マノン」

アベ・プレヴォーの原作「マノン・レスコー」を基にしたオペラは、マスネの「マノン」、プッチーニの「マノン・レスコー」がありますが、今回はマスネ。 私はこちらのほうがプッチーニよりも好みです。

実はこのところ、マスネづいているんですよ。
ついこの間も、「マノンの肖像」「声」の短編オペラ2本立てを観たばかり。
このときは、パルコにご招待されて、ちょっと素敵でした。
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オーケストラがステージの後ろに来て、この狭いスペースがオケボックスの上にしつらえてありました。
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ステージ写真は、リセウ劇場のHPからお借りしています。
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オペラ「マノン」の大成功に気をよくしたマスネが、後年書いた短編オペラですが、年老いたデ・グリューが、彼の甥ジーンが身分の低いオーロールと結婚するのを反対し、ジーンはマノンの姪で容姿が似ている恋人に、叔父の生涯の恋人マノンの服を着せ、まんまとOKを取ってしまうと言うコミックオペラ。
このときのオーロールはIsabel Reyでしたが、ちょっといつもの調子が崩れていて、むしろジーン役のメゾJanja Breticが声が伸びてとても素敵でした。 でもストーリーも面白くもなく、不~ん、っていう感じでしたね。

一緒に組み合わされた「声」は、登場人物が一人という、プーランクのオペラ。
こちらのほうが断然すばらしかったです。

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「マノン」と同じ舞台ですが、後ろのついたてをすかしてオーケストラが見えますね。

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ストーリーはすべて電話での会話で進められます。去った恋人に別れを告げ、死を選ぶ孤独な女性を余すところなく歌い上げたAngeles Blancas, 胸が一杯になりました。



さて、昨夜の「マノン」。 タイトルロールはNatalie Dessay, デ・グリューはRolland Villazon, と聞けば、誰だってちょっと見たくなるでしょう。 演出はDavid McVicar。

私は写真を見たとき、衣装がまさに18世紀そのままで実によく再現されていて驚くと同時に、あまりクラッシックな演出って好きじゃないなぁと思っていたのですが、時代に忠実なのは衣装だけで、舞台は劇中劇のように、半円劇場になっていて、奥にだんだんになった観客席があるのです。

この演出、クラッシックっぽくてそうじゃない。
初めがちょっと面白かったんです。と言うのも、アナウンスで、

「オペラは後10分で始まります」

といっているのに、幕はすでに上がっていて、たくさんの衣装をつけた人たちがステージをうろうろ動き回っているんです。それもちゃんと意味ありげに、演技しながら。
観客はなんだかわからないまま、まだしゃべったり立ったり歩いたりしています。

「後3分で始まります」

のアナウンスの後は、舞台にいる人たちは、オーケストラに向かって拍手なんかしている。劇中劇っぽい雰囲気ですね。

これは終わった後カーテンコールのときに撮ったもの。席が三階の真正面、ステージの隅々までとてもよく見えましたが、オペラグラスがないと細部は見えませんね。

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こんな風に向こうに背の高い観客席が作ってあるので、後ろを向いて歌っても、ささやくような声まで実に良く聞こえるんです。 特にNatarile Dessayの表現力はすばらしくて、あの細く小さな体から、良くこんなパワーが、と感心してしまいます。テノールのVillazonは今世界的に大人気だそうですが、私の好みの声ではなく、とても繊細な2曲のアリアも、ナタリーに比べ、もう少しやさしさを出してほしいと思いましたし、実際ナタリーのほうがはるかにブラボーも多く、人気がありました。でも今回の公演中、ナタリーはのどを痛め、代理が歌った日もあったということですが、この日は本当にすばらしかったです。



実は、初めのマノンの登場は、ちょっとがっかり・・・というのも、ウィーンのポネル監督のグルベローヴァのういういしい映像が頭にありましたからね。 

とにかく衣装は実に当時のものを忠実に再現していて、ゴヤの絵を見ているようでした。
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このダンスもとっても面白かったですね。
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この場面は、よく見ると男女があちらこちらで乱れ乱れているのが見え、オペラグラスを向けるのも阻まれました。舞台の右では、女性がオマルに座り込んで用を足し、終わった後、次女がそれを片付けながらそのあたりにジャっとこぼすなんて場面も。ここでマノンは逮捕されてしまいます。
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そうそう、デ・グリューの父親役のSamuel Rameyは、やたらビブラートをかけるので、とても聞きにくかったですね。

舞台には豪華なドレスをつけたマネキンがおいてありましたが、これはいつも贅沢なものに憧れ人が与えてくれるのを待っているマノンを象徴していたんですね。

ファーム・ファタル(男を破滅させる女)として文学上初めて出てきたとされているマノン、男性には魅力的なんでしょうかねぇ・・・ 美貌だけで参ってしまう殿方が、(案外まじめな人ほど)のぼせちゃうのは女性の私には理解できません・・・・

ところで、今回はオリジナルバーションで、会話などがたくさん入っていましたから、8時半始まりで、2回の休憩を入れ、終わったのは12時20分くらい。長いオペラでした。
この時間はもう地下鉄はありませんから、仕方なくカタルニァ広場のタクシー乗り場まで歩きました。そこにはすでにタクシー待ちの長い列が! ところがタクシーはちっとも来ません。 結局そこでほとんど1時間近く待ってやっと乗れましたが、こんなことは初めて。運転手の人が言うのに、フェリアがあって、タクシーはみんなそっちに行ってしまい、今やっと帰ってきたところ、とのこと。家に帰ったら1時半、家族がすっかり心配していました。

今度の日曜日は、またマスネの「タイス」(コンサートバーション)に行くんですよ。

リセウ劇場にいらしたら、そこのバールもぜひ!

ここは鏡の間のバール
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地下のバールはとても広い
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リセウは見学だけもOKですから、機会があったらぜひ!
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Commented by paqui at 2007-07-04 22:06 x
オペラは興味あるんですが行ったことはありません。でも素敵ですね。リセウの地下鉄はよく利用しました。(ぜんぜん関係ありませんが)しかしタクシーの運転手さんが劇場の説明をしてくれとても素晴らしい劇場だから行くといいよっていわれたのがこれだったんだーって思いました。
幼稚なコメントですみません。(汗)
Commented by gyuopera at 2007-07-04 22:21
♪ paquiさん、オペラって、入場券が高いから、よっぽど好きで前から計画していかないと見れませんよね。私は毎年7月に1年分買ってしまいます。そうすると、安めでいい席が取れるんですよ。ネットより、実際に行ったほうがずっといいです。
この劇場は1994年にホールが焼けてしまって、99年にほぼ元通りに再建されたものです。以前より音響も良くなり、席がとても見やすくなりました。
Commented at 2007-07-05 07:37
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Commented by dognorah at 2007-07-05 09:52
盛りだくさんな記事にしましたね。ナタリーはほんとに素敵な歌唱でした。ビヤソンは私もそれほど好きな歌手ではないのですが立派な声でした。それにも拘らずブーを食らっているのを初めて見て、びっくりしました。ここは通がいる劇場なんですね。
Commented by daikanyamamaria at 2007-07-05 10:39
dognorahさん、こんにちは♪
豪奢な音の響きとアリアの感動が伝わってきました。
哀切。。激情。。。慟哭。。。諦め。。。愛についての様々な彩り。。。
伝統と格式の中に、斬新な舞台装置。。。
いつか、その空間に身をおいて見たいです。
Commented by gyuopera at 2007-07-05 19:13
♪ 鍵コメさん、Buen Viaje! そしてどうもありがとうございます。
そのころご連絡いたします。
Commented by gyuopera at 2007-07-05 19:22
♪ dognorahさん、リセウ劇場はお気に召しましたか?
この前のオペラ鑑賞のことを書かなかったので、同じマスネ続きでまとめてしまいました(笑)。
今まで出最高のブーを聞いたのは、Konvitszeny(スペル?)演出のローエングリン。それもブーだけじゃなくて、「帰れ!」「出てけ!」なんて罵声も入りすごかったです。私は結構楽しんでいただけに、そうやってわめくのを見ると、あまりいい気はしませんでした。みんな一生懸命歌っているのに、(演出は別としても)ブーを出すのはちょっと・・・
Commented by gyuopera at 2007-07-05 19:28
♪ daikanyamamariaさん、こんにちは。
演出とは不思議なもので、何にもない空間でもすばらしいときもあるんですよ。反対に、クラッシックで豪華な舞台でも、退屈なときがあります。私はやっぱり歌重視ですが、あまりひどい演出だと、歌の印象が飛んでしまって、そういうのはあまりよくないんじゃないかと思うんですが、だんだん話題性ばかり追求する演出が増えてきたように思います。今回はクラッシックながら、とても気に入りました。
Commented at 2007-07-05 20:32 x
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Commented at 2007-07-05 20:33 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by gyuopera at 2007-07-05 21:43
鍵コメ2さん、本当に良かったですね! 
ここは食べ物がおいしいですからね、ずっと住んでいると太ります(笑)。でもおいしいものを食べるってとても幸せなことですものね。
良かったです。また是非いらしてくださいね。
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by gyuopera | 2007-07-04 20:51 | オペラ、コンサート musica | Comments(11)

私と一緒にバルセロナを散歩しましょう Vamos a pasear conmigo en Barcelona!


by gyuopera