2007年 02月 04日
リセウ劇場のDon Carlos |
昨夜はリセウ劇場にオペラ ドン・カルロス(ヴェルディ)を見に行きました。
今回の演出は、いつもユニークな演出で有名なPeter Konwitschny。
彼のローエングリンの舞台を学校にしてしまった演出は、リセウでも大変な論議を巻き起こしましたが、私はほかにミュンヘンでトリスタンとイゾルデも見ていて、はじめのうちは、ちょっと・・・と思っていても、見終わった後、いつも確かな手ごたえがあり、非常によく考えられた演出であることに気づくのです。
今回のドン・カルロスは、評にも、すでに見た人からも、またリセウのヴァイオリニスト、ロマノフ氏からも、ちょっと心の準備をしていったほうがいいと聞いていました。
オペラは、普段カットされることが多い第一幕、フォンテーヌブローの森の中のシーンが入るので、5時間の長さでした。
私としては、かなり面白いと思ったので、詳しく書こうと思います。
午後8時開演、今回も舞台が真正面に見えるいい席!
舞台写真は、Liceu劇場のHPからお借りしています。撮影禁止ですからね。
第一幕、フランス王女エリザベートとスペイン王子カルロスは、国交安泰のため婚約していたのですが、フォンテンブローの森で初めて偶然に出会い、お互いに恋に陥ります。ところがそこにスペイン王フェリッペ2世の妃になってほしいとの使者が到着、泣く泣く受けざるを得なかったエリザベートとカルロスは、絶望の別れをします。
フォンテーヌブローの森のシーンですが、舞台は真っ白で、何もありません。民衆がそこら中に寝転んでいるだけ。
使者が来て、スペイン王フェリペ2世との結婚を迫られ、民衆はエリザベートに承諾を懇願、カルロスも絶望的。
スペインの衣装に着替えさせられたエリザベートは、怒って服を脱ぎ捨ててカルロスのもとに走りますが、連れ戻されてしまいます。
一人残されたカルロスは、絶望して手前の台に伏せていますが、そのまま舞台は何もない真っ白なスペインのユステ僧院に移動。
僧衣をまとったカルロス5世(フェリッペ2世の父親、カルロスの祖父)が、舞台の手前に木を植えます。この人物は、フェリペ二世の時代には亡くなっているわけですから、亡霊と言うことになりますが、麦藁帽をかぶって、なんとなくしぐさがユーモラス。本来なら、亡霊の声だけ聞こえるはずで、ちょっとぞっとするシーンなのですが。
カルロスの親友ロドリーゴが、不可能の恋に苦しむカルロスの悩みを知って、フランドル地方の人々を救うのを手伝うよう頼みます。
ロドリーゴは普通、とてもカッコいい役なのですが、この演出では眼鏡をけていて、かなりユーモラス。私はこの歌手、カルロス・アルバレスの歌うロドリーゴをウィーンで聴いています。もちろんウィーンではこんなコミックな振り付けではありませんでしたが、歌はいずれも、すばらしかったです。
次のシーンはスペイン宮廷。そこにはエボリ公という若き姫君が同居していて、カルロスに恋しているのですが、カルロスが王妃エリザベートに恋しているのを知り、激怒。
このシーン、はじめに舞台左右の扉が5枚ずつ開き、5色の光が流れ出てとてもきれい。
復習を誓うエボリをロドリーゴが説得しますが、効果なしと見てナイフを出します。ここでロドリーゴはエボリに眼鏡を取られ、そのあたりを這い回って眼鏡を探す、と言うシーンがあります。
これはフランスで上演されたフランス語版なので、バレーのシーンが入るのですが、バレーはなく、エボリ公の夢の中の出来事が繰り広げられます。
周りの白い壁が上に持ち上がって消えると、奥から、部屋がすーっと出てきます。こういうところ、オペラハウスってすごいなぁと思います。奥から、舞台と同じ大きさの別の舞台が出てくるんですものね。つまり舞台2つ分の奥行きがあるわけです。
時代は一気に現代になり、小市民の普通の家庭。エボリ公とカルロスは夫婦で、エボリは出産を待つ体。今日は両親のフェリペとエリザベートを招待しているのです。
エボリは鶏の丸焼きを用意して天火に入れ、そこにサラリーマンのカルロスが帰宅。中むつまじい様子が描かれ、二人でダンスをしている間に鶏がこげて煙がもうもう。真っ黒になった鶏を見ているところに招待客が到着。あわててカルロスは電話で「テレピッツァ」と電話でピザを頼みます。
すぐにロドリーゴ扮するピッツァ配達人が来て、4人で食事が始まります。フェリペ王夫妻もとても中がよさそう。クマのぬいぐるみとベビーベッドをプレゼントします。シャンパンを開けてそれをかけあって大騒ぎ。
なんとも楽しく幸せな風景・・・・ というのがエボリ公の夢の中のお話です。
そこで第一回の休憩。25分と言うことなのですが、15分くらいすると、アナウンスが流れ、
「後10分で、スペイン国王ならびに王妃が到着されます。そして空前のスペクタクルが開催されます」
と繰り返し放送。でも何も起こりません。ほとんどの人はホールの外に出ています。やがて、電気がついたまま、オーケストラが始まり、ステージにはスクリーンが現れ、処刑者たちがつながれて劇場の入り口から入ってくるのが映し出され、客席を通りステージに上がり、また降りたりを繰り返し、やがて現代の服を着たフェリペ2世とエリザベートが劇場に到着、その様子が前のスクリーンに映し出されます。カメラマンが盛んにフラッシュをたきながら写真を撮っています。そして客席の真ん中の通路にはいってくると、そこで歌い始めます。その間、客席の電気はついたまま。
観客もびっくりして、ぞろぞろ自分の席に着き始めます。
ここでパーティが行われ、みんなで乾杯。
カルロスが、フランドルを救ってほしいと王に陳情、あえなく捕らえられ、処刑は実行されますが、そこで天の歌声がひびくところを、マリリン・モンローに扮した歌手が登場、喝采を浴びながら歌います。これはあまり好きじゃなかったですね。
この陳情の場面で、カルロスはフランドルの悲惨な様子の写真のビラをまくのですが、客席の一番上からも、客席に向かって大量にビラがまかれます。その一枚が、私のすぐ上のランプに引っかかりました。
このとき、カルロスはグラスを床にたたきつけるのですが、こういうグラスは砂糖でできているんですって。本物だったら危ないでしょ。よく、グラスを握りつぶしたりするシーンもありますね。
ここで第二回目の休憩。第二幕はとても短いのでびっくり。今回は15分だけ。本来ならもっと長いのですが、リセウ劇場では、5時間を越えるオペラは、出演者に余分に手当てを出さないといけないことになっているので、5時間よりちょっと短くなるよう休憩時間を短くしたのだそうです。これはロマノフ氏のお話。
休憩の間に舞台の準備をしていますが、手前の台に、何かを置いています。双眼鏡でためつすがめつ見たのですが、どう見ても、女性のpanty。???
前に座っていたセニョーラが、sudokuをやっていました(笑)。
第三幕は、フェリペ二世が、エリザベートは私を愛してくれたことがない、と切々と訴えるアリアなのですが、幕が開くと、なんとそこら中に衣類が脱ぎ散らされ、ベッドを思わせる大きなクッションにエボリとフェリペ二世が寝ているのです。
もちろんアリアはすばらしかったのですが、目覚めたエボリが服を身につけ、そこに大僧正がやってきます。
フェリペ二世は、台の上においてあったpantyをこっそり自分のポケットにしまいこむシーンがあって、は~ん、そのためにあそこにおいてあったのね。
エリザベートが、自分の宝石箱を盗まれたと訴えに来ますが、その箱はエボリがフェリペ二世のもとへ持ってきたもの。箱に入っているカルロスの肖像画を見せて、二人が怪しい関係であることを匂わせ、ついでに彼を誘惑してしまったわけです。問い詰められたエリザベートはあくまで潔白を主張。エボリは自分の犯した罪に絶えられず王妃に告白。夜が明ける前に城を出なくてはいけなくなりますが、捕らえられたカルロスを救おうとします。そのとき歌うアリアで、
「この自分の美しさがおぞましい」を繰り返します。
場面は変わってカルロスの入っている牢獄。相変わらず真っ白で何もありません。
そこにロドリーゴが来て、喜んで友カルロスのために死のう、と歌い、本当に撃たれて死んでしまうのですが、銃声が聞こえたとき、カルロスが先に倒れるので、観客はカルロスが撃たれたように思ってしまいます。死ぬ前にいつも朗々と歌われるロドリーゴのアリア、最後にアーと言いながらカルロスの上に重なって倒れます。本当は感動的なシーンのはずなんですが、なんとなくコミカル。そこにフェリペ王が来て、カルロスと和解しようとします。カルロスは上に乗っていたロドリーゴの体を跳ねのけて、「息子だとは思ってくれるな」と言いますが、何とか折り合いがついた模様。
そこに民衆の反乱が起こりますが、大僧正が一喝して収まり、その場でエボリが殺されます。
これは筋書きに入っていないとおもったけど。
最終幕はユステの僧院。カルロス五世が葬られているところです。エリザベートがアリアを歌っているところに再び僧衣のカルロス五世の亡霊が現れます(!)。
そこにカルロスが来て、最後の別れをしているところに父親のフェリペ二世が兵とともに登場。二人がやっぱり愛し合っていたと怒りを表します。兵は背広姿の人たちで、みんなカフスをはずして腕まくりをして詰め寄ります。
そこに墓場の口が開き(正面億の壁が開く)、僧衣のカルロス五世が出てくると、息子のフェリペ2世をしかりつけ、孫のカルロスとエリザベスの手を引いてまた墓場に戻るのです。
墓場の扉がぴったり閉まると真っ暗になって、終わります。
ブーイングも結構ありましたが、喝采のほうが大きかったと思います。
Konwitschnyの演出は、シリアスなストーリーのオペラにいつも娯楽の要素をたっぷり含ませていますが、よく計算され考えられていると思います。
ちょっと残念なのはカルロス役のFranco Farina。 美声なのですが、高音の音程が不安定です。そのほかはみんなよかったと思います。
オペラが終わったのは夜中の1時。金曜日なので、地下鉄が2時まで走っています。かなりの人が地下鉄を利用していました。私ももちろんその一人。行きも、リセウに行く人と何人もいっしょになりました。
5時間のオペラ、やっぱりかなり長くて足がだるくなりましたが、結構楽しめました。
↓ クリックしていただけると励みになります。
今回の演出は、いつもユニークな演出で有名なPeter Konwitschny。
彼のローエングリンの舞台を学校にしてしまった演出は、リセウでも大変な論議を巻き起こしましたが、私はほかにミュンヘンでトリスタンとイゾルデも見ていて、はじめのうちは、ちょっと・・・と思っていても、見終わった後、いつも確かな手ごたえがあり、非常によく考えられた演出であることに気づくのです。
今回のドン・カルロスは、評にも、すでに見た人からも、またリセウのヴァイオリニスト、ロマノフ氏からも、ちょっと心の準備をしていったほうがいいと聞いていました。
オペラは、普段カットされることが多い第一幕、フォンテーヌブローの森の中のシーンが入るので、5時間の長さでした。
私としては、かなり面白いと思ったので、詳しく書こうと思います。
午後8時開演、今回も舞台が真正面に見えるいい席!
舞台写真は、Liceu劇場のHPからお借りしています。撮影禁止ですからね。
第一幕、フランス王女エリザベートとスペイン王子カルロスは、国交安泰のため婚約していたのですが、フォンテンブローの森で初めて偶然に出会い、お互いに恋に陥ります。ところがそこにスペイン王フェリッペ2世の妃になってほしいとの使者が到着、泣く泣く受けざるを得なかったエリザベートとカルロスは、絶望の別れをします。
フォンテーヌブローの森のシーンですが、舞台は真っ白で、何もありません。民衆がそこら中に寝転んでいるだけ。
使者が来て、スペイン王フェリペ2世との結婚を迫られ、民衆はエリザベートに承諾を懇願、カルロスも絶望的。
スペインの衣装に着替えさせられたエリザベートは、怒って服を脱ぎ捨ててカルロスのもとに走りますが、連れ戻されてしまいます。
一人残されたカルロスは、絶望して手前の台に伏せていますが、そのまま舞台は何もない真っ白なスペインのユステ僧院に移動。
僧衣をまとったカルロス5世(フェリッペ2世の父親、カルロスの祖父)が、舞台の手前に木を植えます。この人物は、フェリペ二世の時代には亡くなっているわけですから、亡霊と言うことになりますが、麦藁帽をかぶって、なんとなくしぐさがユーモラス。本来なら、亡霊の声だけ聞こえるはずで、ちょっとぞっとするシーンなのですが。
カルロスの親友ロドリーゴが、不可能の恋に苦しむカルロスの悩みを知って、フランドル地方の人々を救うのを手伝うよう頼みます。
ロドリーゴは普通、とてもカッコいい役なのですが、この演出では眼鏡をけていて、かなりユーモラス。私はこの歌手、カルロス・アルバレスの歌うロドリーゴをウィーンで聴いています。もちろんウィーンではこんなコミックな振り付けではありませんでしたが、歌はいずれも、すばらしかったです。
次のシーンはスペイン宮廷。そこにはエボリ公という若き姫君が同居していて、カルロスに恋しているのですが、カルロスが王妃エリザベートに恋しているのを知り、激怒。
このシーン、はじめに舞台左右の扉が5枚ずつ開き、5色の光が流れ出てとてもきれい。
復習を誓うエボリをロドリーゴが説得しますが、効果なしと見てナイフを出します。ここでロドリーゴはエボリに眼鏡を取られ、そのあたりを這い回って眼鏡を探す、と言うシーンがあります。
これはフランスで上演されたフランス語版なので、バレーのシーンが入るのですが、バレーはなく、エボリ公の夢の中の出来事が繰り広げられます。
周りの白い壁が上に持ち上がって消えると、奥から、部屋がすーっと出てきます。こういうところ、オペラハウスってすごいなぁと思います。奥から、舞台と同じ大きさの別の舞台が出てくるんですものね。つまり舞台2つ分の奥行きがあるわけです。
時代は一気に現代になり、小市民の普通の家庭。エボリ公とカルロスは夫婦で、エボリは出産を待つ体。今日は両親のフェリペとエリザベートを招待しているのです。
エボリは鶏の丸焼きを用意して天火に入れ、そこにサラリーマンのカルロスが帰宅。中むつまじい様子が描かれ、二人でダンスをしている間に鶏がこげて煙がもうもう。真っ黒になった鶏を見ているところに招待客が到着。あわててカルロスは電話で「テレピッツァ」と電話でピザを頼みます。
すぐにロドリーゴ扮するピッツァ配達人が来て、4人で食事が始まります。フェリペ王夫妻もとても中がよさそう。クマのぬいぐるみとベビーベッドをプレゼントします。シャンパンを開けてそれをかけあって大騒ぎ。
なんとも楽しく幸せな風景・・・・ というのがエボリ公の夢の中のお話です。
そこで第一回の休憩。25分と言うことなのですが、15分くらいすると、アナウンスが流れ、
「後10分で、スペイン国王ならびに王妃が到着されます。そして空前のスペクタクルが開催されます」
と繰り返し放送。でも何も起こりません。ほとんどの人はホールの外に出ています。やがて、電気がついたまま、オーケストラが始まり、ステージにはスクリーンが現れ、処刑者たちがつながれて劇場の入り口から入ってくるのが映し出され、客席を通りステージに上がり、また降りたりを繰り返し、やがて現代の服を着たフェリペ2世とエリザベートが劇場に到着、その様子が前のスクリーンに映し出されます。カメラマンが盛んにフラッシュをたきながら写真を撮っています。そして客席の真ん中の通路にはいってくると、そこで歌い始めます。その間、客席の電気はついたまま。
観客もびっくりして、ぞろぞろ自分の席に着き始めます。
ここでパーティが行われ、みんなで乾杯。
カルロスが、フランドルを救ってほしいと王に陳情、あえなく捕らえられ、処刑は実行されますが、そこで天の歌声がひびくところを、マリリン・モンローに扮した歌手が登場、喝采を浴びながら歌います。これはあまり好きじゃなかったですね。
この陳情の場面で、カルロスはフランドルの悲惨な様子の写真のビラをまくのですが、客席の一番上からも、客席に向かって大量にビラがまかれます。その一枚が、私のすぐ上のランプに引っかかりました。
このとき、カルロスはグラスを床にたたきつけるのですが、こういうグラスは砂糖でできているんですって。本物だったら危ないでしょ。よく、グラスを握りつぶしたりするシーンもありますね。
ここで第二回目の休憩。第二幕はとても短いのでびっくり。今回は15分だけ。本来ならもっと長いのですが、リセウ劇場では、5時間を越えるオペラは、出演者に余分に手当てを出さないといけないことになっているので、5時間よりちょっと短くなるよう休憩時間を短くしたのだそうです。これはロマノフ氏のお話。
休憩の間に舞台の準備をしていますが、手前の台に、何かを置いています。双眼鏡でためつすがめつ見たのですが、どう見ても、女性のpanty。???
前に座っていたセニョーラが、sudokuをやっていました(笑)。
第三幕は、フェリペ二世が、エリザベートは私を愛してくれたことがない、と切々と訴えるアリアなのですが、幕が開くと、なんとそこら中に衣類が脱ぎ散らされ、ベッドを思わせる大きなクッションにエボリとフェリペ二世が寝ているのです。
もちろんアリアはすばらしかったのですが、目覚めたエボリが服を身につけ、そこに大僧正がやってきます。
フェリペ二世は、台の上においてあったpantyをこっそり自分のポケットにしまいこむシーンがあって、は~ん、そのためにあそこにおいてあったのね。
エリザベートが、自分の宝石箱を盗まれたと訴えに来ますが、その箱はエボリがフェリペ二世のもとへ持ってきたもの。箱に入っているカルロスの肖像画を見せて、二人が怪しい関係であることを匂わせ、ついでに彼を誘惑してしまったわけです。問い詰められたエリザベートはあくまで潔白を主張。エボリは自分の犯した罪に絶えられず王妃に告白。夜が明ける前に城を出なくてはいけなくなりますが、捕らえられたカルロスを救おうとします。そのとき歌うアリアで、
「この自分の美しさがおぞましい」を繰り返します。
場面は変わってカルロスの入っている牢獄。相変わらず真っ白で何もありません。
そこにロドリーゴが来て、喜んで友カルロスのために死のう、と歌い、本当に撃たれて死んでしまうのですが、銃声が聞こえたとき、カルロスが先に倒れるので、観客はカルロスが撃たれたように思ってしまいます。死ぬ前にいつも朗々と歌われるロドリーゴのアリア、最後にアーと言いながらカルロスの上に重なって倒れます。本当は感動的なシーンのはずなんですが、なんとなくコミカル。そこにフェリペ王が来て、カルロスと和解しようとします。カルロスは上に乗っていたロドリーゴの体を跳ねのけて、「息子だとは思ってくれるな」と言いますが、何とか折り合いがついた模様。
そこに民衆の反乱が起こりますが、大僧正が一喝して収まり、その場でエボリが殺されます。
これは筋書きに入っていないとおもったけど。
最終幕はユステの僧院。カルロス五世が葬られているところです。エリザベートがアリアを歌っているところに再び僧衣のカルロス五世の亡霊が現れます(!)。
そこにカルロスが来て、最後の別れをしているところに父親のフェリペ二世が兵とともに登場。二人がやっぱり愛し合っていたと怒りを表します。兵は背広姿の人たちで、みんなカフスをはずして腕まくりをして詰め寄ります。
そこに墓場の口が開き(正面億の壁が開く)、僧衣のカルロス五世が出てくると、息子のフェリペ2世をしかりつけ、孫のカルロスとエリザベスの手を引いてまた墓場に戻るのです。
墓場の扉がぴったり閉まると真っ暗になって、終わります。
ブーイングも結構ありましたが、喝采のほうが大きかったと思います。
Konwitschnyの演出は、シリアスなストーリーのオペラにいつも娯楽の要素をたっぷり含ませていますが、よく計算され考えられていると思います。
ちょっと残念なのはカルロス役のFranco Farina。 美声なのですが、高音の音程が不安定です。そのほかはみんなよかったと思います。
オペラが終わったのは夜中の1時。金曜日なので、地下鉄が2時まで走っています。かなりの人が地下鉄を利用していました。私ももちろんその一人。行きも、リセウに行く人と何人もいっしょになりました。
5時間のオペラ、やっぱりかなり長くて足がだるくなりましたが、結構楽しめました。
↓ クリックしていただけると励みになります。
by gyuopera
| 2007-02-04 08:16
| オペラ、コンサート musica
|
Comments(10)
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by
darklady at 2007-02-04 10:26
すばらしい観劇をされましたね
いつもうらやましく思うばかりです ロマノフ氏の解説付きですね
最後は sudokuがでてくるのもおもしろいです
まるで リセウのシートに座っているような夢見心地で見せていただきました
Am1時までの公演とはすごいですね 5時間!
いつもうらやましく思うばかりです ロマノフ氏の解説付きですね
最後は sudokuがでてくるのもおもしろいです
まるで リセウのシートに座っているような夢見心地で見せていただきました
Am1時までの公演とはすごいですね 5時間!
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AoimikanM at 2007-02-04 15:59
gyuoperaさんいつもありがとうございます。
5時間のオペラ劇は未体験ですねえ。。。何度か休憩があったとしても3時間半くらいまで。
内容は勿論伝わって来ましたが、やっぱり本物を観た事がないと感想を書くのが難しいですね、、。
私は舞台美術に非常に興味があるので、日常的な場面と打って変わった真っ白な壁、ライィング、衣装、、、その演出総てが魅力的な空間に思えます。
また、ブーイングと喝采が混じり合っているという舞台終了の感覚は、日本では殆どないですね。どちらか、に必ず傾くので、個人主義なヨーロッパ人の素直な感情表現が面白いです。
gyuoperaさんも音楽に詳しいので冷静な評論のようで楽しく読みましたよ。
いつもクリック、ポチ、してますよ〜^^
*ねね
5時間のオペラ劇は未体験ですねえ。。。何度か休憩があったとしても3時間半くらいまで。
内容は勿論伝わって来ましたが、やっぱり本物を観た事がないと感想を書くのが難しいですね、、。
私は舞台美術に非常に興味があるので、日常的な場面と打って変わった真っ白な壁、ライィング、衣装、、、その演出総てが魅力的な空間に思えます。
また、ブーイングと喝采が混じり合っているという舞台終了の感覚は、日本では殆どないですね。どちらか、に必ず傾くので、個人主義なヨーロッパ人の素直な感情表現が面白いです。
gyuoperaさんも音楽に詳しいので冷静な評論のようで楽しく読みましたよ。
いつもクリック、ポチ、してますよ〜^^
*ねね
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by
じゅん
at 2007-02-04 16:56
x
gyuさん、こんにちは。
昨晩は自転車仲間のみなさんとちょっと遅めの新年会
でした。自転車仲間と言ってもわたくしより年上の方々
ばかりなのですが、とても気さくなお人柄。
楽しい時間を過ごせました。
二次会でとある都内のバーへ行ったのですが、そこ
のマスターも自転車好きとのことでいろいろとお話も
盛り上がりました。
驚いたのはそのマスターが自転車でバーまで通って
いるということだったのですが、更に驚きの事実があり
ました。
なんとマスターの現住所がわたくしととっても近い!!
最寄り駅も同じと言うことでご近所さんのようです。
世の中、広いようで狭いものです。
ということでまた来週。
昨晩は自転車仲間のみなさんとちょっと遅めの新年会
でした。自転車仲間と言ってもわたくしより年上の方々
ばかりなのですが、とても気さくなお人柄。
楽しい時間を過ごせました。
二次会でとある都内のバーへ行ったのですが、そこ
のマスターも自転車好きとのことでいろいろとお話も
盛り上がりました。
驚いたのはそのマスターが自転車でバーまで通って
いるということだったのですが、更に驚きの事実があり
ました。
なんとマスターの現住所がわたくしととっても近い!!
最寄り駅も同じと言うことでご近所さんのようです。
世の中、広いようで狭いものです。
ということでまた来週。
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by
alex
at 2007-02-04 18:44
x
こんばんは。夜1時までのオペラ鑑賞なんて羨ましいです、日本では有り得ない。私は「ドン・カルロス」を観たことはないので、gyuさんが沢山用意して下さった写真を見ながら想像するだけです。でも、舞台の切り替わりや状況設定など劇場の中で生で観て聴いていると、話しのつながりだけでは突拍子もなく思えるものが心に必然的に響いてくるのではと思いました。以前松本でサイトウキネンのオペラ「ヴォツェック」を斬新な演出で観た時に、私はとてもわかりやすくて良かったと思いましたが、一緒に行ったオペラ通の友人は「あれはない…」と嘆いていました。音楽でも絵でも色々な感性の人がいるので、そういうものに出会えるのは嬉しいですね。
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gyuopera at 2007-02-04 19:23
♪darkladyさん、5時間のオペラは長いですが、ワーグナーだと普通、と言うところでしょうか。
このオペラ、ほかに生ではウィーン、ヘルシンキで見ているのですが、これはほかのオーソドックスな演出とはぜんぜん違って、別の意味で面白かったです。
ガラスのことは、友人のテノールに教わりました。彼が歌ったオペラで、ビンで頭を殴られるシーンがあって、
「痛かった?」と聞いたら、「8針も縫ったよ」といいます。びっくりする私に、「実はあれは砂糖でできているのさ」と種明かしをしてくれたと言うわけです。
このオペラ、ほかに生ではウィーン、ヘルシンキで見ているのですが、これはほかのオーソドックスな演出とはぜんぜん違って、別の意味で面白かったです。
ガラスのことは、友人のテノールに教わりました。彼が歌ったオペラで、ビンで頭を殴られるシーンがあって、
「痛かった?」と聞いたら、「8針も縫ったよ」といいます。びっくりする私に、「実はあれは砂糖でできているのさ」と種明かしをしてくれたと言うわけです。
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gyuopera at 2007-02-04 19:32
♪*ねねさん、ワーグナーのオペラだと長いものが多いですね。マイスタージンガーなんか、6時間! ベルリンのプレミエでは、食事付きというのもありました。
オペラは数え切れないほど見ているのですが、オーソドックス一点張りの演出はつまらないですね。
今回のように何もステージになくても、とても効果的でよかったものもあります。
夢のシーンでは、終わったあとかなりのブーイングがありました。私はかなり楽しんだのですが・・・
テノールもカーテンコールでブーを出されていましたね。もちろん、いずれも拍手のほうが多かったんですが・・・ 歌手にブーを出すのはちょっとかわいそうですね。一生懸命歌っているのでしょうから。アラーニャやクーラは別ですけど(笑)。
オペラは数え切れないほど見ているのですが、オーソドックス一点張りの演出はつまらないですね。
今回のように何もステージになくても、とても効果的でよかったものもあります。
夢のシーンでは、終わったあとかなりのブーイングがありました。私はかなり楽しんだのですが・・・
テノールもカーテンコールでブーを出されていましたね。もちろん、いずれも拍手のほうが多かったんですが・・・ 歌手にブーを出すのはちょっとかわいそうですね。一生懸命歌っているのでしょうから。アラーニャやクーラは別ですけど(笑)。
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gyuopera at 2007-02-04 19:35
♪じゅんさん、その後近所さんのマスターさん、かなりの距離を毎日自転車で通勤しているのですね! 車も多いことだし大変でしょうね。夜も遅くなるのでしょうし・・・
そのバー、自転車愛好者の集まるバーなのかもしれませんね。
そのバー、自転車愛好者の集まるバーなのかもしれませんね。
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gyuopera at 2007-02-04 19:42
♪alexさん、サイトウキネンでもオペラをやるんですね。
オペラって、演出によってものすごく印象が変わるでしょう。それによっては見るに耐えないような演出もあって、音楽を侮辱しているようで腹が立ちますが、すばらしい演出と歌手、指揮者がそろったときの感動は、他に比べられないほど大きなものです。
ヴォツェックをリセウでやったときは、とてもグロテスクな演出でしたが、内容が内容なので、こういうのもありうるか、と思いました。見終わった後、ほかの人もみんな浮かない顔をしていました。
また新たに15枚ほどDVDを買ったのですが、生で見るほうが何倍も素敵ですね。
オペラって、演出によってものすごく印象が変わるでしょう。それによっては見るに耐えないような演出もあって、音楽を侮辱しているようで腹が立ちますが、すばらしい演出と歌手、指揮者がそろったときの感動は、他に比べられないほど大きなものです。
ヴォツェックをリセウでやったときは、とてもグロテスクな演出でしたが、内容が内容なので、こういうのもありうるか、と思いました。見終わった後、ほかの人もみんな浮かない顔をしていました。
また新たに15枚ほどDVDを買ったのですが、生で見るほうが何倍も素敵ですね。
何時見ても素敵な劇場ですね~。私も一度くらいは観劇に行ってみたいです。
5分間の消灯・・・私も朝新聞を見てやる気満々だったのですが、夕方、ジムに行ったり色々しているうちに忘れてしまってました(涙)。昨日節分だったのも忘れてたし、最近物忘れが激しいです(苦笑)。
5分間の消灯・・・私も朝新聞を見てやる気満々だったのですが、夕方、ジムに行ったり色々しているうちに忘れてしまってました(涙)。昨日節分だったのも忘れてたし、最近物忘れが激しいです(苦笑)。
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by
gyuopera at 2007-02-05 01:29
♪やまもさん、タラゴナの写真、どれも素敵です。
5分間の消灯、私は知らなかったんですよ。とにかくテレビは見ないし、ラジオもクラッシックしか聞かないし・・・ 新聞には出なかったと思うので。
でもかなり実行していたようですね。
節分、私もすっかり忘れてました!
5分間の消灯、私は知らなかったんですよ。とにかくテレビは見ないし、ラジオもクラッシックしか聞かないし・・・ 新聞には出なかったと思うので。
でもかなり実行していたようですね。
節分、私もすっかり忘れてました!