リセウ劇場のイドメネオ

今年はモーツァルト生誕250周年でモーツァルト年として、さまざまなコンサートやオペラが催されますが、バルセロナのリセウ劇場ももれなく、今年のモーツァルトの作品はイドメネオです。

今回切符を買った日はプレミエで、まだちょっと腰が痛かったけれど、モーツァルトはやっぱり聞きたかったので、痛み止めを飲んで出かけました。

例のごとく、「鏡の間」でフレッシュオレンジジュースを飲みながら天井を見ていますと、今まで何度と無く見ていたのに気付かなかった文字が目に入りました。
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「素直さと真実は、藝術が表現する美しさの真髄である」
sencillezを素直さと訳すか率直さと訳すか、この場合は「単純」とは訳さないと思うけれど、まぁだいたいそんな意味の言葉で、この豪華な広間に書かれているのはちょっと合わないような気もしましたが、いい言葉です。それに続いて、
「音楽は心の(または精神の)言葉である」
とも書かれていました。
なんだか妙に感心してしまいました。

今日の席は2階の4列目。それでもステージはほとんど全部見えます。
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こちら側を撮るといつも同じになってしまいますね。いつもほとんど同じくらいの場所の席を買うので。ここ、高い席のすぐ横で、90ユーロくらいなんですよ。すぐ隣は116ユーロですもん。
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今回は私の一番好きなソプラノ、マリア・バーヨがリーヤを歌うので、それはそれは楽しみでした。
このオペラ、友人のアライサがマルセイユで歌っていて、(もちろんCDも出ていますが)プレミエと2公演目も見にゆき、2月の恐ろしく寒いマルセイユを一緒に歩き回った思い出があります。あまり好きな町ではなかったけれど、でもオペラはとてもよかった。

さて、ここはリセウ。
幕が開くと、こんな感じのステージ。ステージ写真はリセウのHPからお借りしています。
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かしがった四角の建物と、弧を描く塀。それはまるで船のようにも見えます。黒い服を着て縄でつながれている捕虜たちは、明らかにアラブ人の服装、それを見張る軍服の人たちは機関銃を構えています。
序曲が終わって、リーヤのアリアから始まります。リーヤは塀の外に目隠しをされて縄でつながれています。彼女はトロヤの王女なのに、クレタに捕虜になっているのです。
ああ、マリア・バーヨの声は、澄み切って、どんな高音も耳障りではありません。軽やかで清らかな声!
今回のイダマンテのメゾはKristine Jepson, 私個人の好みですと、イダマンテはテノールのほうが好きなのですが、それは絶対に一流でなければいけません。それが難しいから、メゾを使うのかな、とかんぐるくらい、メゾの場合が多いですね。
今回のメゾはかなり良かったです。ちょっと、やっぱり私の代好きなフォン・オッターを思わせました。
でも、タイトルロールのイドメネオの声はあまり通らず、存在感にかけました。
あのコロラトゥーラの"Fuor del mar"は、アライサとは比較するベくもなく、かなりがっかりでした。アルバチェもぜんぜん声の通らないテノール。 エレクトラは普通、かなり強烈な印象を持つソプラノが歌うのですが、ここではなんだか惨めっぽくて、存在感もありません。モーツァルトのオペラは大体どれもですが、いい歌手がそろわないと、一人スター歌手がいたってだめなのです。

演出はNicolas Brieger, Klangbogenフェスティバル(ウィーン)のものだということでしたが、あまり好きではありませんでした。衣装なんか特にマチマチで、現代の服の登場人物なのに突然ロココムードの衣装のコーラスが現れたり。
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モンスターも、外部からの攻撃、と言った形で、ただパーンと何かが炸裂する音がして煙が出るだけ。な~んだ。普通、どんな怪物が出てくるかな?って期待するじゃありませんか?アイディアはいいとしても、あまり歌詞のないようとちぐはぐじゃ困ります。
何の意味かわからないけれど、セマナ・サンタのようなとんがり帽子の人たちまで出てきて。
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休憩のときは、地下にあるFoyerに行きました。ここはオペラのときはレストランになりますが、コンサートをやったり公演をやったりと多目的。広くてゆったりしているので、休憩のときちょっと食べたり飲んだりするのには便利です。
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ミュンヘンンのオペラハウスはやはりとても豪華で、来る人もかなり着飾っていますが、休憩のとき、食べるものが少ないのか、食べるところが狭いせいか、皆目が血走っていて、殺気立った感じでした(笑)。ワーグナーのオペラのように長いと、途中でちょっと食べたくなりますものね。でも何度も食べ損ねました。あっという間に売り切れちゃうのです。あそこの劇場はきれいだけれど、楽屋は広いわりに、設備などは大したこと無いのです。ミュンヘンでいつも私が泊まるホテルにはよく歌手が滞在していて、楽屋で「今朝会いましたね」なんていわれたことがありましたっけ(笑)。日本人は目立つのかも。

8時半からのオペラ、終わったのは12時を回っていました。

今回のイドメネオは、演出、歌手ともちょっとがっかりだったけれど、マリア・バーヨの美しい声が聞けたからいいとしようかしら。

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Commented by やまも at 2006-03-16 12:31 x
日本でもNHKで毎朝15分番組を組んでモーツァルト生誕250周年特番みたいな物をやっています。モーツァルトの生涯を追いながらその時期作曲した作品を紹介しています。やっぱり偉大な音楽家なんですね~。

素敵な劇場ですね。館内で撮影が出来るのがいいですよね。
日本では禁止ですよね。
Commented by gyuopera at 2006-03-16 15:19
やまもさん、劇場内では撮影は禁止です(笑)。でも知らないで撮っている方が多いので、今回もちょこっと撮らせてもらいましたが、係りの人に見つかると注意されると思います。
ステージ写真はリセウのHPからお借りしています。

NHKで毎朝モーツアルト特集を?いいですね。テレビは見ない私ですが、そういう番組なら見たいな。
Commented by lignponto at 2006-03-17 10:26 x
オペラて、一度観てみたいですが、日本だと席料が目が出るほど高そう!!
やはり本場で観た方がいいのでしょうか。
Commented by raindropsonroses at 2006-03-17 12:26
gyuさんへ。
こんにちは。僕の記事とちょっとリンクしますが、要するに、何事も釣り合いが取れていないとダメ、何か一点だけ突出して素晴しくてもダメって言う事ですね。舞台も映画も総合芸術、まぁ、中には、そんなダメな舞台をグイグイ引っ張って行く強者大俳優(歌手)もいますけどね(笑)
同じ音楽を聴くにも、このような素晴しい箱の中で聴くのと、どうでもいいホールみたいな所で聴くのとでは雲泥の差、gyuさんの方は夢のような経験ですね。
古典をモダンでやる難しさ、衣装、セットを現代風にしても歌詞は昔もの物ですもんねぇ……昔、トレンチコートを着たハムレットなんて言うのもありましたっけ(笑)

ブノワ。
Commented by gyu at 2006-03-17 16:54 x
ブノワさんのコメント欄に書いた言葉は、リセウ劇場の鏡の間に書かれていたんです。確か誰でも知っている有名な人の言葉なんですが、名前を思い出せません。
オペラは昔から総合芸術といわれていますが、オペラを見る雰囲気って、とても大切だと思うんですよ。モダンな白い箱でも、藝術の殿堂、といった雰囲気には出来ると思います。ヘルシンキのオペラハウスは真っ白な箱ですが、とても好きでしたよ。
モダンな演出でも成功度の高いものはいくらでもあります。でも今回のは、成功したといえないんじゃないかな。
Commented by gyu at 2006-03-17 16:59 x
lignpontoさん、オペラはぜひヨーロッパで見られるといいですね。雰囲気が違いますよ。それに、日本だと、「我は通なり」という感じの人が多すぎで鼻に付く(笑)。 無心で見られるといいと思います。でも、少なくともあらすじくらいは知っていないと面白くないでしょうね。
始めてみるときは、ストーリーの単純な楽しいものから入るといいんですが、でも初めてジークフリートを見て感動した友人もいますからなんともいえません(笑)。オペラもピンきりですから、有名なオペラハウスに行けばいつでもいいオペラが見られるというのは間違いですね。
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by gyuopera | 2006-03-16 05:40 | オペラ、コンサート musica | Comments(6)

私と一緒にバルセロナを散歩しましょう Vamos a pasear conmigo en Barcelona!


by gyuopera