2015年 01月 22日
オペラ「テーベの女王ニオベ」 |
マドリッドのアウディトリオで行われた、スペインで初公開のオペラ「ニオベ」に行きました。作曲家がアゴスティーノ・ステファニ。この中のデュエットは、バルトリとジャルスキーの録音ですっかり有名になりましたね。
バロックなのに、なぜかとても現代に通じるものがあって新鮮です。
マドリッドのみの上演で、バルセロナは無かったので、これはどうしても聞きたかった。
マドリッドのアウディトリオは素晴らしいコンサートホール。 大ホールは2324席で、もう何日も前からチケットは完売とのこと、チケット売り場には、キャンセル待ちを狙っている人がたくさんいました。バロックオペラの、しかもコンサート形式のオペラでこれだけ人気があるのはすごいと思いました。
始まるかなり前から、楽器を調音していました。
オーケストラはボストン・アーリーフェスティバルオーケストラ。もちろんすべてオリジナルの古楽器を使っています。チェロやビオラダガンバの多いこと。
オリジナル楽器は、現代楽器のような大きな音がしませんから、とても耳に心地よい。そしてメリハリの効いた演奏がとても新鮮です。
こちらのお二方が音楽ディレクターで、それぞれティオルバとバロックギターを担当、ほとんどずっと演奏し続けています。今のオーケストラでは、ギターを入れたら、ほかの楽器に音が消されてしまいますね。
もちろん歌手たちはバロック音楽を専門にやっている人たちばかりで、テクニックを要しますが、ヴェルディなどのイタオペのように大音響で怒鳴るような歌い方はしませんから、やっぱり耳にやさしい。
この20数年間オペラをたくさん鑑賞してきましたが、もうそういうイタオペ歌唱を聞くのがだんだんつらくなってきたんですね。
その点、今注目されてきているバロックオペラの新鮮なこと! 優れた歌手が増えたし、演奏方法も昔のイ・ムジチのような演奏はもうされません。
至難のアクロバティックな歌唱も、嫌みなく歌い上げる人が増えました。
ニオベは、ほとんど知られていない作品ですが、素晴らしい曲がたくさん入っています。
トレーラーがあるので、想像がつくかと思います。
3人のカウンターテナーが歌いますが、ジャルスキーの歌唱のレベルは断トツで,この最後のアリアなどは、あまりにすごくて、あっけにとられてしまうほどでした。もちろん終わった後は大喝采。
ストーリーはちょっと複雑で、簡単に書けないのですが、子供たちを殺されたテーベの王様は自殺、女王のニオベもあまりの悲しみに石になってしまうという悲劇です。
ニオベをうたったKarina Gauvinも素晴らしい歌唱でしたが、すごいボリューム。ジャルスキーの倍くらいありますね。
親子みたいな
それにしても、この人はなんて足が長いんでしょうね!
昔はオペラのコンサート形式って退屈、などと思ったものですが、このほうが音楽に集中できるし、何よりオーケストラが演奏するのを見られるのはとても良かったです。
大ホールはスタンディング・オベーション、熱気に包まれていました。
歌手たちも、オーケストラも、本当に素晴らしい演奏でした。マドリッドまで聴きに行ったかいがありました。
後日出たオペラ評も、ジャルスキーをべたほめにしていました。
オペラのCDが3枚組で発売されました。この録音は世界初。聴きごたえがあります!
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by gyuopera
| 2015-01-22 06:06
| オペラ、コンサート musica
|
Comments(2)
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by
yokodak
at 2015-01-23 00:39
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マドリッドまで遠征されたのですね。バルトリのアルバムで世に知られているとは言え、ステッファーニのオペラが大ホールで上演されて売り切れだなんて日本では考えられないです。欧州は古楽が盛んで羨ましい!絶好調のジャルスキー、ゴーヴァンをはじめ、他の歌手陣やオケも素晴らしい演唱&演奏だったようですね。写真から空気が伝わってきます!
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gyuopera at 2015-01-23 05:22
Yokodakさん、こちらにもコメントありがとうございます。
まだステージの感動から冷めやらずです。コンサート形式だと、オーケストラが演奏するのも見られてとても面白かったです。ティオルバは、ギターよりも足台が高い、とか、バロックギターからリュートに替えて演奏したり、打楽器がまた面白くて、風の音は、ラッパみたいなものをぶら下げて、それを吹いていたり、とか、見ていて飽きません。変な演出のステージよりもコンサート形式の方が音楽に集中できていいかもしれませんね。
コンサート評が幾つかでましたが、いずれもPJをベタ褒めで喝采していました。カリナさんも概ね良かったのですが、ビブラートを入れすぎると言う評もありました。友人が聞いた話では、PJはカリナさんのような声が欲しいと言ったそうですよ。
まだステージの感動から冷めやらずです。コンサート形式だと、オーケストラが演奏するのも見られてとても面白かったです。ティオルバは、ギターよりも足台が高い、とか、バロックギターからリュートに替えて演奏したり、打楽器がまた面白くて、風の音は、ラッパみたいなものをぶら下げて、それを吹いていたり、とか、見ていて飽きません。変な演出のステージよりもコンサート形式の方が音楽に集中できていいかもしれませんね。
コンサート評が幾つかでましたが、いずれもPJをベタ褒めで喝采していました。カリナさんも概ね良かったのですが、ビブラートを入れすぎると言う評もありました。友人が聞いた話では、PJはカリナさんのような声が欲しいと言ったそうですよ。