2014年 02月 21日
ジャルスキーの歌うRavelのハバネラ形式の小品 |
Maurice Ravel作曲の 「ハバネラ形式の小品」は、楽器をやっている人だったら聞いたことがあるでしょう。
録音状態はあまり良くなくて、時に音が飛んでしまっているところがありますが、雰囲気は感じていただけるでしょうか。
彼の歌唱は、オペラ歌手によく見られるような、「聞かせてやろう」的なところはまるでなく、天に向かってどこまでも伸びてゆくような、そして歌った後は、背にある見えない翼で天に昇って行ってしまうような。
検索したら、ヴォカリーズ、いろいろな歌手が歌っているのが見つかりました。
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私もこれをピアノ伴奏でフルートでコンサートで演奏しました。リハーサルの時はなかなかピアノとうまく合わなくて、コンサートの日が一番ぴったり合ってうまく行ったのを思い出します。
この曲は、フルートで演奏されることが多いのですが、オーボエやクラリネット、バスーンやサクソフォン、チェロなどでも演奏されることがあるようです。
ところが解説を見ると、原題は Vocalise-etude en forme de Habanera と言って、本来、ヴォカリーズ(母音唱法)の練習曲として作曲したのですね。ということは人が歌うためだったんだ…!
その、人が歌っている録音を偶然見つけました。それがこれ。
歌っているのはかのカウンターテナー、フィリップ・ジャルスキー。
歌詞は無いので、e と i の中間の音で歌っています。
びっくりしました。本当に!
まあ、私が演奏できるくらいですから、器楽の曲としてはそんなに難易度は高くないかもしれませんが、これを歌うとなったら大変だと思います。
特にこんな所なんか
ラベルは細かく指示を書いていて、ジャルスキーはそれを全部わかるくらいきちんと指示に従って歌っています。それも軽々と!
彼はバロック音楽専門ですが、フランス歌曲を歌うきはトリル部分は当然、ビブラートも変えて時代に合わせた歌唱法で演奏。
特に出だしの部分、もう官能的ですらあります。ぞくぞくっとしてしまうほど。
楽器ではとてもこんな風には表現できないでしょう。
こういうのを聞いていると、声に勝る楽器はないのではと思わされます。彼の歌唱は、オペラ歌手によく見られるような、「聞かせてやろう」的なところはまるでなく、天に向かってどこまでも伸びてゆくような、そして歌った後は、背にある見えない翼で天に昇って行ってしまうような。
聴衆は陶酔し、しばし天国を垣間見た思いをし、その余韻で動けない。
この録音のとき、ジャルスキーはまだ29歳。本人は「大変な努力をしている」と機会があるごとに言明していますが、何と軽々と、本当に羽が生えているように歌っていることでしょう。類まれな才能に恵まれた音楽家だと思います。
チェチーリア・バルトリ。かなり速いテンポ。
モンセラット・カバリェ。繊細です。
声や演奏はお好みですが、私はやっぱりJarousskyの録音がいいな。
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by gyuopera
| 2014-02-21 06:59
| 音楽
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