アムステルダムへ4 Stabat Materのコンサート

今回の旅行の目的は、コンセルトヘボウのコンサート、Pergolesi の"Stabat Mater".
この曲は、私のオーケストラでもコンサートをしているし、何度かコンサートにも行っているので、どうしても最高の歌手とオーケストラで聴きたかったのです。そしてとうとう夢がかないました。

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Diego Fasolisの指揮する I Barocchistiのアンサンブルと、あの great(Fasolis曰く)カウンターテナーのフィリップ・ジャルスキーと、若いロシアのソプラノ、Julia Lezhnevaコンサート、これ以上の組み合わせを望むことができましょうか。
そして合わせて演奏されるのが、大好きな VivaldiのNisi Dominus! もうどんなにしてもこのコンサートを聴きたかった!

コンセルトヘボウはとても素敵な建物でしたし、広さもちょうど手ごろな感じ。
ステージの後ろ側にもぐるりと座席がありました。
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写真を撮っていたら、(写真撮影禁止」の立て札がステージのど真ん中に立っています。ありゃ、駄目かな?

コンサートプログラムは、

1.Vivaldi Sinfonia "Al Santo Seplocro" Concerto grosso Op.3, Nr.11

 2.  Nisi Dominus

 休憩

3.Pergolesi  Stabat Mater

初めはファゾリス指揮の I Barocchistiでヴィヴァルディのコンチェルト・グロッソ 作品3‐11、ポピュラーな曲ですが、たとえようもなく澄み切ったヴァイオリンの音が素晴らしかった。昔よく聞いていた I Musiciとは楽器の構成も違い、一層オリジナルに近いのではと思わせました。
こちらは違う人たちの演奏ですが、曲を聴いたらすぐお分かりになるでしょう。
ヴァイオリンとチェロが素晴らしかったです。


次がVivaldi のNisi Dominus, これも大好きな曲です。
舞台の上のドアから、指揮者のファゾリスとジャルスキーが下りてきます。
ファゾリスはオルガンを弾きながらの指揮。
聞いてみてください。


最後のアーメンが特に素敵でしょう。別に宗教くさくもないし。
ジャルスキーの声と演奏は、この曲に本当にぴったりとあって、崇高さを感じさせます。
この曲は、カウンターテナーが歌うにはかなり難しいらしいのですが、そんなことはみじんも感じさせない、素晴らしい演奏です。輝かしく、ときにはメランコリックに響く高音、美しいフレージング、特に第四番のピアニシモの長い持続音の美しさは涙が出るほど。よくこれだけ息が続くこと。
7番はビオラ・ダモーレ奏者が前に出てきて歌と掛け合いで演奏。メランコリックな音と、デリケートに歌われる声とのハーモニーがが美しい。
アーメンでは、得意の超絶技巧のコロラトゥーラを発揮。彼の歌唱はいつも完璧。
曲と曲の間の少しの間に、客席のあちこちから咳をするのが聞こえてきました。
あまりにたくさんの咳が聞こえるので、ファゾリスはあきれたような顔でちょっと指揮を始めるのをストップ。ジャルスキーはくすっと笑うと、ふざけて、自分も咳をする真似をしました。余裕があるんですね。

それにしても、Vivaldiは偉大な音楽家ですねえ。長年さまざまなヴィヴァルディの曲を演奏してきても、器楽曲だけ演奏していたからそこまで素晴らしい作曲家とは思っていなかったのですが、この曲やたくさんのオペラ、さまざまなカンタータを聴いていると、今までヴィヴァルディをよく知らなかったということがわかり、ヴィヴァルディを再発見した思いです。

Nishi Dominusの録音風景のビデオ


休憩の後は、いよいよ Stabat Mater。
右のドアからファゾーリとユリアさんが、左のドアからジャルスキーが下りてきました。ジャルスキーは、きっと一人だったら駆け下りてきたでしょうが、二人と同じようにステージに着くよう、ちゃんと見ながら一緒にステージに立ちました。こういう気を使う人なんだ。

一曲目、Stabat Mater dolorosa, この歌詞は読んだらもう悲しくて、とても続けて読んでいられません。曲の始まりから、震えが来てしまう。
二人の声は溶け合い、そして掛け合い、なんてすばらしいんでしょう。

こういった宗教曲は絶対ビブラート無しで歌われなければなりません。そして、そのまっすぐ伸びた声が、美しくなくてはだめ。この二人は最高のカップルではないかしら。
第4番のQuae moerebat は、宗教曲にもかかわらず、私には官能的に歌っているように思えるのですが、そんな風に言ったら怒られるかな。
7番のEja Mater, fons amorisはかなり低めで、とても私好み。天使の声と言われるジャルスキーのチェストヴォイスは、悪魔的!そのギャップが面白くて。チェンチッチなどはそんなにギャップがないように思うけれど。
8番のFac ut ardeat cor meumは中でも特に好きで、この二人の掛け合いがとても素敵。最後のオーケストラの部分がまたいい。この部分、私もずいぶん一生懸命練習したから。
12番の"Cuando corpus morietur"が始まると、ああ、もう終わってしまう、とつらくて、もっと聴いていたいと願わずにはいられません。
そして最後の素晴らしいアーメンで終わると、会場の人たちは総立ちになり、ブラボーと大喝采の渦。宗教曲と言うのに、こんなに聴衆が興奮しているのを見るのは初めてでした。

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宗教曲だとアンコールなんてできないだろうと思いきや、スカルラッティの"Salva regina"のデュエットを歌ってくれました。またこれが素晴らしくて、オーケストラが止まって二人の声だけが絡まりあい、絶妙なハーモニー、うっとりとなりました。
二重唱のときは、ジャルスキーはボリュームを抑え、自分が目立たないようにするんですね。
アンコールの後もまたスタンディング・オベーション。
もうみんな拍手をしながらステージの近くに押し寄せて、写真を撮りまくっているんです。それで私も撮らせてもらいましたが、ステージの写真って難しいのね。
ライトが当たっているから、顔の部分が飛んでしまう。
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これはこちらからお借りした写真。
ジャルスキーは歌うとき、その内容に入り込んでしまうのか、ここまでやるか!って言うほど顔を崩すんですね。歌手は誰でもある程度は崩すけれど、彼の場合は別人に見えるくらい、というか、もとの顔がどんなだったか忘れてしまうくらい(笑)。
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そして、コンサートは終わりました。本当に素晴らしかった・・・・!


今回のコンサートのStabat Materのレコーディングの映像。寒そうな教会での録音風景。





この "Stabat Mater"のレコーディングは、ICMA, the International Classical Music Awards 2014で受賞が決定しました。 カテゴリーは「バロックボーカル」 で、 Philippe Jarousskyと Julia Lezhneva。

ジャルスキーがイタリアの教会で、このイントロ部分を子供たちのコーラスと歌っていたビデオを見ましたが、子供たちがアルト(カウンターテナー)のパートを歌っていたため、彼は、「じゃ僕がソプラノ部分を歌いましょう」と歌い始めたので、自分以外のパートまでちゃんと暗譜しているんだ~とびっくり。

コンサートの後、トイレに行こうと人混みの中をぐるぐる探し、係りの人に聞いて、やっと行くことができました。さらにその後、コートをどこに掛けたのかわからなくなった! 入口から入ったすぐのところに、コートを掛ける場所があるので、このコンサートホールはクロークルームがないのかしら、と思いながら掛けたのですが、トイレを探してぐるぐる回っていたら、ちゃんとクロークルームがあるじゃありませんか。
また係りの人に、コートをフックに掛けたんですけれど…と聞くと、コンサートホールの四隅にあるとのこと。それでまたホールのまわりをぐるぐる回るはめに。エントランスホールでもうサイン会が始まっていました。
やっとコートを見つけて、大汗をかきながら、サイン会の列の一番おしまいに並びました。
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ずいぶんたくさんの人がサインをもらうために並んでいました。時間がかかるのを見込んで、コーヒーかなんか飲みに行った人もいたようで、後からまたぞろぞろ来ていました。

やっと私の番になると、初めにJuliaさん。にっこりほほ笑んでくれてとてもチャーミング!!まだ24才なのに、もう国際的に活躍していて、すでにたくさんの賞を受けているソプラノです。でも全然、気どった感じはなくて、それは好感度100%です。
リブレットにサインをしてもらうとき、
「お名前は?」
と聞かれ、スペルを言うのに、つい
”Etsuko, E(エ) de Espanya" 
とスペイン語で言ってしまいました。
ちょっと変な顔をするJuliaさんに、あわてて
「すみません、スペインに住んでいるものですから、スペイン語で言ってしまいました」
それまで英語に全然スペイン語が混じらなかったのに。さて、E(スペイン語でエと発音)はイーだったわね、えーとイーはEnglandのEだっけ、としどろもどろ。でもちゃんと書いてくれました。(この写真はお借りしたもの)
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お隣に座っていたジャルスキーのところには、後ろの人がどんどん入り込んで、私はまた後ろで待っていなければなりませんでしたが、その人たちがまだ横でワイワイやっている間に、サインしましょう、と私に身振りをしてくれました。
ジャルスキーは今をときめくスターカウンターテナーですが、全然おごったところはなく、ごく普通のシャツにジーンズ姿で、若々しくて細くてすらりとしていて、あの超絶技巧の歌を歌う人とは思えないくらい。
大体CDジャケットや紹介などの写真はとても気取った顔をした写真が使われているので、そんなイメージを想像していたら大違いで、全然気取りのない人でした。こういうところが普通のオペラ歌手と全然違うかも。
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私の名前は、隣にJuliaさんが書いてくれたのを見ながらすらすらと書いてくれ、
「マドリッドに住んでいるの?」
と聞くので、バルセロナ、と言いましたけれど、先ほど横でJuliaさんに、私がスペインに住んでいる、というのを、ほかの人にサインをしながらちゃんと聞いていたんですね。その後ずいぶん何人も私の前に入り込んだので、時間が経っていたはずなのだけれど。
「Manuel de Fallaの 7 Canciones populares espanyoles は興味がありませんか」
と聞いてみると、
「それは2年前にもう歌ったんだ」
と言います。残念!録音はないそうですが、聞きたかった…!
お友達なのか、横にいた人たちがまた割り込んできたので、それ以上お話はできませんでしたけれど、2人のサインをもらえて、うれしい! 
見ていると、残っていた人たちはみんな彼とツーショットを撮ってもらっていて、彼も気楽に応じていましたが、私はとてもそんなの頼めないな~と思いました。
そういえば指揮者のファゾリス氏は出席しませんでした。
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それにしても歌った後、1時間以上ものサイン会、御苦労さま。
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あとでコンサートの感想を書いた人が、Stabat Materの歌詞の中に"Fuch me"という繰り返しがあっておかしかった、と書いていましたが、歌詞はラテン語で、fuckではなくてfac、フランス語だったらfaire, スペイン語ではhacerで、英語だとちょうど合う言葉がなくて、しいて言えばmakeかな、ですから、ラテン語系の言葉を話す人だったら何とも思わないと思うのですが、ゲルマン語語源の英語やドイツ語の人はびっくりしたのかもしれません。

今回コンサートを聴いて、ますますStabat Materが好きになりました。そしてこの二人の素晴らしい歌手たちも!

その夜は興奮して、快適なベッドだったにもかかわらず、全然眠れなかったんですよ。



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by gyuopera | 2014-01-24 05:32 | オペラ、コンサート musica | Comments(0)

私と一緒にバルセロナを散歩しましょう Vamos a pasear conmigo en Barcelona!


by gyuopera