2013年 12月 13日
レオナルド・ヴィンチの「アルタセルセ」を聴く |
バロックオペラは、実はちょっと苦手でした。
何年か前、リセウ劇場で 「アリオダンテ」を見に行ったのですが、人形劇みたいな単調な演出も退屈なら、カサローヴァも期待外れで、半分で帰ってきてしまった覚えがあります。
その時は、あの有名な Scherza, infida も知らなかったのですから、勉強不足もあったのですが、それにしてもあの人形劇に仕立てた、まるでコンサート形式のような演出はひどかった…
その後、リセウ劇場で観た「ポッペアの戴冠」もかなりひどい演出で、モンテヴェルディの音楽はとても素敵なものが多いのに、なんだか作曲家を侮辱しているような気がして、腹を立てたりして。
オペラの最後に歌われる、美しいデュエットは、悪者二人のデュエットなのにたとえようもなく美しい。
何年か前、リセウ劇場で 「アリオダンテ」を見に行ったのですが、人形劇みたいな単調な演出も退屈なら、カサローヴァも期待外れで、半分で帰ってきてしまった覚えがあります。
その時は、あの有名な Scherza, infida も知らなかったのですから、勉強不足もあったのですが、それにしてもあの人形劇に仕立てた、まるでコンサート形式のような演出はひどかった…
その後、リセウ劇場で観た「ポッペアの戴冠」もかなりひどい演出で、モンテヴェルディの音楽はとても素敵なものが多いのに、なんだか作曲家を侮辱しているような気がして、腹を立てたりして。
オペラの最後に歌われる、美しいデュエットは、悪者二人のデュエットなのにたとえようもなく美しい。
初めてこのオペラをアーノンクールの指揮のビデオで見たときは、賢者セネカは死んでしまうし、美しい王妃オッタービアは追放されてしまい、「愛の勝利」はわかるけれど、終わり方がなんとなくふに落ちないような気がしたものです。
さて、バロックオペラは苦手…と思っていましたが、今回買った「アルタセルセ」は、3枚もCDがある長いオペラですが、退屈させずどんどんひっぱってゆかれて、かなり面白かった。
作曲者はナポリ派のレオナルド・ヴィンチ(1690‐1730)が亡くなる年に作曲したもので、当時は女性がステージに上がることを禁じていたので、すべて男性歌手が歌ったのですが、それを再現させるように、今旬の若い5人のカウンターテナーとテノールが歌っているのです。
一番低い声がテノールというのは変だと思うかもしれませんが、昔のヒーローは、カストラートの高い声で歌われたのですね。だから、女性役がカウンターテナーの高い声というのはわかっても、なぜ男性も高い声かという意味がわかると思います。別に女の声をまねているわけではないのですね。ここに、カウンターテナーの声を嫌う人の誤解があるのだと思います。
オペラはこんな感じ。(トレーラー)
全部を見たい方はこちら
幕が上がると(いや、初めから幕は上がっていた)、まるで楽屋を覗いているようです。歌手たちは思い思いに動き回り、水を飲んだり楽譜をもう一度見たり、メークは済んでいるのですが、まだTシャツ姿で衣裳さえ着けていません。やがてオケのチューナーが始まり、指揮者が登場。
オーケストラが序曲をやっている間、登場人物の若い6人の男性歌手がズラリと並び(あいさつするわけではなく)、オケの演奏を見たり、仲間同士で頑張れコールをしたり。口紅をべったり塗った顔で二カッと笑うのを見ると思わず吹きだしてしまう。
さて、バロックオペラは苦手…と思っていましたが、今回買った「アルタセルセ」は、3枚もCDがある長いオペラですが、退屈させずどんどんひっぱってゆかれて、かなり面白かった。
作曲者はナポリ派のレオナルド・ヴィンチ(1690‐1730)が亡くなる年に作曲したもので、当時は女性がステージに上がることを禁じていたので、すべて男性歌手が歌ったのですが、それを再現させるように、今旬の若い5人のカウンターテナーとテノールが歌っているのです。
オペラはこんな感じ。(トレーラー)
全部を見たい方はこちら
幕が上がると(いや、初めから幕は上がっていた)、まるで楽屋を覗いているようです。歌手たちは思い思いに動き回り、水を飲んだり楽譜をもう一度見たり、メークは済んでいるのですが、まだTシャツ姿で衣裳さえ着けていません。やがてオケのチューナーが始まり、指揮者が登場。
オーケストラが序曲をやっている間、登場人物の若い6人の男性歌手がズラリと並び(あいさつするわけではなく)、オケの演奏を見たり、仲間同士で頑張れコールをしたり。口紅をべったり塗った顔で二カッと笑うのを見ると思わず吹きだしてしまう。
女性役を歌う2人がバスローブを着ていて、やがてステージの端の方で着替えをしているのまで見せてしまうのも愉快。演出が斬新で、古いオペラがとても新鮮に見えるんですね。
衣裳もメークもバロック風。メークは日本の歌舞伎とか役者絵を参考にしたんじゃないかしらん? バロック時代はみんなこんな風に白く塗って口紅付けてたんですけどね。スカート役のセミーラとマンダーネの二人。様になってる! セミーラはアルタセルセの、マンダーネはアルバーチェの恋人 座っている王子役のアルタセルセ、日本のよろいのような衣裳。それにしてもこの兜か鬘か、すごい~。
このオペラで一番の見どころ、アルバーチェのアリアを歌って気絶!
王子アルタセルセとアルバーチェは親友。この場面はちょっと他と違って生々しくなく、なんだか愛を語っているように見える。動きが素敵。
アルバーチェと恋人マンダーネの美しいデュエット。女役より男の方がお化粧でいろ色っぽいくらい。
これも上のと同じ、アルバーチェの絶唱アリア。 角付きの桂が面白い。 王になったアルタセルセにアルタバーノが剣を突き付け、あわや! 右の姫君マンダーネは気絶
アルバーチェの機転で助かったアルタセルセ、アルバーチェの父アルバーノを処刑せず追放とし、アルバーチェと女王マンダーネ(アルタセルセの妹)、アルタセルセとセミーラが結ばれる。
で、ハッピーエンドでみんなの合唱。カウンターテナーが多いので、女声コーラスみたい。華やかできれいなフィナーレ。
始めこのビデオを初めて見たときは、メークだけ見て、これはちょっと…と思ったのですが、音楽はヘンデルやヴィヴァルディを彷彿とさせる部分もたくさん出てくるし、いずれのアリアもなかなか聴かせるし、華やかな衣装は見てい楽しいし、ステージの変換も良く考えられていてとても面白いのです。
こういうのを見ると、当時のオペラは、感動して泣けたりするものではなくて、華やかなショー的なもの、オペラハウスは当時の人たちの(貴族たちの)娯楽かつ社交場だったんだろうな、と思わせます。そしてそういう雰囲気のオペラが、今、また受けているんじゃないだろうか。
フランスの今年のオペラで堂々2位になったのも頷けます。
カウンターテナーの声は好き好きがあると思いますが、カウンターテナーと言っても一人ひとりがみんな違う味を持っていて、聴けば聴くほど面白く、私はかなり楽しみました。
CDを聴いていると、夫が、
「これ聞いていて癒しになるの? 声が汚いじゃない」
夫はもちろん、カウンターテナーなんて知りません。
それで、大好きな Nisi Dominusに替えました。
CDが終わると、
「おい、ソプラノ終わったぞ」
だって。
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衣裳もメークもバロック風。メークは日本の歌舞伎とか役者絵を参考にしたんじゃないかしらん? バロック時代はみんなこんな風に白く塗って口紅付けてたんですけどね。
フランスの今年のオペラで堂々2位になったのも頷けます。
カウンターテナーの声は好き好きがあると思いますが、カウンターテナーと言っても一人ひとりがみんな違う味を持っていて、聴けば聴くほど面白く、私はかなり楽しみました。
このオペラ、後にコンサート形式で上演されていて、みんな男性で、服も当然コンサート用の服なので、テノール以外、どれが男性でどれが女性の役か、わかりにくいかもしれませんが、見ていると、女性役のCenčić が「キャー」と言ったり、気絶する真似をするたび、客席から笑い声が起こって、これはこれで結構楽しそうだな~、と思ったものでした。指揮者のファゾーリの指揮も、ラジオ体操しているみたいで(ダイナミックと言おうか)楽しいし、彼の指揮するオーケストラもきびきびしていてなかなか聴きものです。
CDを聴いていると、夫が、
「これ聞いていて癒しになるの? 声が汚いじゃない」
夫はもちろん、カウンターテナーなんて知りません。
それで、大好きな Nisi Dominusに替えました。
CDが終わると、
「おい、ソプラノ終わったぞ」
だって。
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by gyuopera
| 2013-12-13 06:34
| 音楽
|
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