2012年 04月 28日
リセう劇場の「魔笛」 |
久しぶりにリセう劇場でオペラを見ました。演目はモーツァルトの「魔笛」。
いい席です。3階のほぼ真正面。100ユーロくらいです。
実を言うと、私の一番好きなオペラはこの「魔笛」。
でも、あまりにもお子様向けにした演出や、はしゃぎすぎのパパゲーノ、狸眼のパミーナetc.で、観て本当によかった、と思える魔笛は少ないのです。
リセウ劇場でも、いつもはお子様向けに プチ・リセウとして上演しているので、どうかな、と思ったのですが、演出が悪ければ、眼を閉じて音楽を聴いているだけでもいいかな、と思ってチケットをとりました。
今回のオーケストラはリセウ劇場専属のオーケストラではなくてOBC(Orquesta sinfonica de Barcelon).
序曲、うん、なかなかいいです。聴きなれた曲だけれど、やっぱり生はいいなあ。ちょっと感動しました。
ステージ写真はリセウ劇場のHPからお借りしたものです。
幕が開くと、おお、なかなか奥行きがあってすごいステージです。
深い森の中を、王子タミーノが大蛇に追いかけられて、ついに力尽きて倒れてしまうところです。おどろおどろしい森の雰囲気もよく出ていましたし、結構迫力もあって、合格!
(この場面、大体ちゃちなオペラが多いんですよ)
大蛇をやっつけてくれたのは3人の女性。倒れているタミーノを見て、そのハンサムぶりに3人とも恋してしまいます。
大体のオペラはタミーノにあまりスポットを当てないけれど、彼はオペラのタイトルである魔笛を吹く人なのです。
大蛇はやっつけなかったけれど、とても勇気のある若者。優男でなくてヒーローです。
このテノールはとても素敵な声で、私のイメージとかなり合ってました。ちょっと衣装がかわいそうだったけれど。
三人の女性は自分たちの主人の夜の女王に報告するために退散。そこにきたのが鳥刺しのパパゲーノ。
鳥のような衣装で楽しげに笛を吹きます。
このパパゲーノは一番人気のキャラですが、あまりお子様受けしようとはしゃぎたてたりすると、幻滅。
衣装はコミックだったけれど、まあまあよかった。
「君はだれ?」
「俺は人間」
「人間じゃないように見えるけど・・・」
「俺は怪力の持ち主さ」
そんな会話をしたので、タミーノはパパゲーノが大蛇を倒してくれたのかと勘違い。
そこに戻ってきた3人の女性たちが、うそつきパパゲーノの口に錠前をかけてしまいます。
タミーノには、夜の女王の娘の肖像画を手渡しますと、そのあまりの美しさに、タミーノはすっかり恋に陥ってしまい、あのアリア「美しい肖像」を歌います。
このアリア、簡単そうで案外難しい。私はヴェルディのアリアなんかよりずっとこのアリアが好きです。
このテノール、うまい!
そこに、雷鳴とともに派手な演出で夜の女王が出現
娘のパミーナが悪漢ザラストロにさらわれたので、救い出してほしいと頼みます。
すごいシュールな
これじゃ魔女ですね~
一番高い音がかすれて残念でした。
タミーノは魔法の笛を、パパゲーノは魔法の鐘をもらって出発。
なぜかパパゲーノが真っ先にパミーナを見つけます。
王子タミーノが恋していると伝えると、パミーナもすっかりうれしくなって歌います。
「俺も恋人がほしいな~」
「辛抱強く待ったらきっと見つかるわ」
ここに二人を捕まえにきたグループがいたのですが、パパゲーノが魔法の鐘を鳴らすと、みんな踊りだしてどこかへ行ってしまいます。
タミーノの笛の音が聞こえ、二人はそちらに駆け出すのですが、なかなか行き会えません。
タミーノは雲に乗った三人の子どもたちに導かれ、ザラストロのテンプルにたどり着きますが、そこで会った僧侶に、ザラストロは悪者ではない、といわれ、どうしていいかわからなくなります。
そこで魔法の笛を吹くと、たくさんの動物が来て踊り始めます。
ここは私が一番好きなシーン。この曲も大好きです。
動物たちは紙細工のようで、とても素敵でした。
さて、いよいよザラストロの登場。彼はこのテンプルの最高僧です。
ザラストロの乗る車を引くライオンが最高!
そこでタミーノとパミーナがはじめて会うのですが、二人は人目でわかるのです。
でも、タミーノはパミーナと結ばれるためには試練を受けなければなりません。
僧侶たちは面白い衣装を着ています。
さて、パミーナの母親である夜の女王が娘の前に現れて、ザラストロを殺せとナイフを渡します。
黒人のモノスタトは何度もパミーナを自分のものにしようとしますが、いつも失敗
パミーナにはとてもザラストロを殺すことなどできません。
タミーノとパパゲーノは、「しゃべってはいけない」という試練を受けます。
でもパパゲーノはしゃべり通し。
雲に乗った3人の子どもたちが食事を運んできてくれます。
「俺にも恋人ができないかなあ」と歌います。
そうすると、老婆に扮したパパゲーナが現れます。
でもパパゲーノにはまだわかりません。
沈黙の試練の間、パミーナがやってきますが、話そうとしないタミーノを見て絶望し、悲しみのアリアを歌います。
それはすばらしい歌唱でした!
その後、パミーナは自害しようとしますが、3人の子どもたちにとめられ、今タミーノが命を懸けて試練を受けようとしているから行ってあげなさいとアドバイス。
何をやってもへまばかり、もう死んでしまおうと首をつろうとしましたが、3人の子どもが止めて、魔法の鐘を鳴らしなさい、と。
魔法の鐘を鳴らすと、パパゲーナが現れます。
このときの歌が「パ・パ・パ・パ・パ」で始まります。
これは笑わせようとしているわけではなくて、感動のあまり、言葉にならなかったのです。
タミーノは最後に火と水の試練を受けなければなりません。
そこにパミーナがやってきて、二人で魔笛を鳴らしながら試練を乗り越えます。
夜の魔女と3人の女性、モノスタトは、暗闇にまぎれて忍び込んだところを、上から岩山が落ちてきて下敷きになってしまいます。
晴れて二人は結ばれることになります。めでたしめでたし。
劇場は満員でした。そしてみんなとても満足しているのがわかりました。
とてもよかった。 でも、タミーノの衣装、もう少しかっこよくしてあげられなかったかしらねえ。
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いい席です。3階のほぼ真正面。100ユーロくらいです。
実を言うと、私の一番好きなオペラはこの「魔笛」。
でも、あまりにもお子様向けにした演出や、はしゃぎすぎのパパゲーノ、狸眼のパミーナetc.で、観て本当によかった、と思える魔笛は少ないのです。
リセウ劇場でも、いつもはお子様向けに プチ・リセウとして上演しているので、どうかな、と思ったのですが、演出が悪ければ、眼を閉じて音楽を聴いているだけでもいいかな、と思ってチケットをとりました。
今回のオーケストラはリセウ劇場専属のオーケストラではなくてOBC(Orquesta sinfonica de Barcelon).
序曲、うん、なかなかいいです。聴きなれた曲だけれど、やっぱり生はいいなあ。ちょっと感動しました。
ステージ写真はリセウ劇場のHPからお借りしたものです。
幕が開くと、おお、なかなか奥行きがあってすごいステージです。
深い森の中を、王子タミーノが大蛇に追いかけられて、ついに力尽きて倒れてしまうところです。おどろおどろしい森の雰囲気もよく出ていましたし、結構迫力もあって、合格!
(この場面、大体ちゃちなオペラが多いんですよ)
大蛇をやっつけてくれたのは3人の女性。倒れているタミーノを見て、そのハンサムぶりに3人とも恋してしまいます。
大体のオペラはタミーノにあまりスポットを当てないけれど、彼はオペラのタイトルである魔笛を吹く人なのです。
大蛇はやっつけなかったけれど、とても勇気のある若者。優男でなくてヒーローです。
このテノールはとても素敵な声で、私のイメージとかなり合ってました。ちょっと衣装がかわいそうだったけれど。
三人の女性は自分たちの主人の夜の女王に報告するために退散。そこにきたのが鳥刺しのパパゲーノ。
鳥のような衣装で楽しげに笛を吹きます。
このパパゲーノは一番人気のキャラですが、あまりお子様受けしようとはしゃぎたてたりすると、幻滅。
衣装はコミックだったけれど、まあまあよかった。
「君はだれ?」
「俺は人間」
「人間じゃないように見えるけど・・・」
「俺は怪力の持ち主さ」
そんな会話をしたので、タミーノはパパゲーノが大蛇を倒してくれたのかと勘違い。
そこに戻ってきた3人の女性たちが、うそつきパパゲーノの口に錠前をかけてしまいます。
タミーノには、夜の女王の娘の肖像画を手渡しますと、そのあまりの美しさに、タミーノはすっかり恋に陥ってしまい、あのアリア「美しい肖像」を歌います。
このアリア、簡単そうで案外難しい。私はヴェルディのアリアなんかよりずっとこのアリアが好きです。
このテノール、うまい!
そこに、雷鳴とともに派手な演出で夜の女王が出現
娘のパミーナが悪漢ザラストロにさらわれたので、救い出してほしいと頼みます。
すごいシュールな
これじゃ魔女ですね~
一番高い音がかすれて残念でした。
タミーノは魔法の笛を、パパゲーノは魔法の鐘をもらって出発。
なぜかパパゲーノが真っ先にパミーナを見つけます。
王子タミーノが恋していると伝えると、パミーナもすっかりうれしくなって歌います。
「俺も恋人がほしいな~」
「辛抱強く待ったらきっと見つかるわ」
ここに二人を捕まえにきたグループがいたのですが、パパゲーノが魔法の鐘を鳴らすと、みんな踊りだしてどこかへ行ってしまいます。
タミーノの笛の音が聞こえ、二人はそちらに駆け出すのですが、なかなか行き会えません。
タミーノは雲に乗った三人の子どもたちに導かれ、ザラストロのテンプルにたどり着きますが、そこで会った僧侶に、ザラストロは悪者ではない、といわれ、どうしていいかわからなくなります。
そこで魔法の笛を吹くと、たくさんの動物が来て踊り始めます。
ここは私が一番好きなシーン。この曲も大好きです。
動物たちは紙細工のようで、とても素敵でした。
さて、いよいよザラストロの登場。彼はこのテンプルの最高僧です。
ザラストロの乗る車を引くライオンが最高!
そこでタミーノとパミーナがはじめて会うのですが、二人は人目でわかるのです。
でも、タミーノはパミーナと結ばれるためには試練を受けなければなりません。
僧侶たちは面白い衣装を着ています。
さて、パミーナの母親である夜の女王が娘の前に現れて、ザラストロを殺せとナイフを渡します。
黒人のモノスタトは何度もパミーナを自分のものにしようとしますが、いつも失敗
パミーナにはとてもザラストロを殺すことなどできません。
タミーノとパパゲーノは、「しゃべってはいけない」という試練を受けます。
でもパパゲーノはしゃべり通し。
雲に乗った3人の子どもたちが食事を運んできてくれます。
「俺にも恋人ができないかなあ」と歌います。
そうすると、老婆に扮したパパゲーナが現れます。
でもパパゲーノにはまだわかりません。
沈黙の試練の間、パミーナがやってきますが、話そうとしないタミーノを見て絶望し、悲しみのアリアを歌います。
それはすばらしい歌唱でした!
その後、パミーナは自害しようとしますが、3人の子どもたちにとめられ、今タミーノが命を懸けて試練を受けようとしているから行ってあげなさいとアドバイス。
何をやってもへまばかり、もう死んでしまおうと首をつろうとしましたが、3人の子どもが止めて、魔法の鐘を鳴らしなさい、と。
魔法の鐘を鳴らすと、パパゲーナが現れます。
このときの歌が「パ・パ・パ・パ・パ」で始まります。
これは笑わせようとしているわけではなくて、感動のあまり、言葉にならなかったのです。
タミーノは最後に火と水の試練を受けなければなりません。
そこにパミーナがやってきて、二人で魔笛を鳴らしながら試練を乗り越えます。
夜の魔女と3人の女性、モノスタトは、暗闇にまぎれて忍び込んだところを、上から岩山が落ちてきて下敷きになってしまいます。
晴れて二人は結ばれることになります。めでたしめでたし。
劇場は満員でした。そしてみんなとても満足しているのがわかりました。
とてもよかった。 でも、タミーノの衣装、もう少しかっこよくしてあげられなかったかしらねえ。
↓クリックしていただけると励みになります。どうぞよろしくお願いいたします。
by gyuopera
| 2012-04-28 13:39
| オペラ、コンサート musica
|
Comments(4)
Commented
by
siratamasira at 2012-04-28 20:34
こんにちは、お芝居やオペラなど見ないので劇場というところに行く
ことがないのですが素敵な劇場だとそれだけで気分が上がる感じです
ね コンサートホールとかは行くこともありますがどこものっぺりして
いて同じ感じでホールだけで楽しめません 素敵な劇場とか行って
みたいですね 手っ取り早いところだと歌舞伎座とか雰囲気あったら
いいな~と思いますが建て替えるのでどうなることかです その前に
歌舞伎に興味を持たなきゃですね^^°
ことがないのですが素敵な劇場だとそれだけで気分が上がる感じです
ね コンサートホールとかは行くこともありますがどこものっぺりして
いて同じ感じでホールだけで楽しめません 素敵な劇場とか行って
みたいですね 手っ取り早いところだと歌舞伎座とか雰囲気あったら
いいな~と思いますが建て替えるのでどうなることかです その前に
歌舞伎に興味を持たなきゃですね^^°
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by
Shin's mama
at 2012-04-29 00:46
x
う~ん。gyuさんの解説はとってもステキで、「ぜひその日のその舞台、見てみたかった~!」と思わせます。(笑)紙の動物たち、面白そうですね!
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gyuopera at 2012-04-29 04:33
♪ siratamasiraさん、こんばんは。
ヨーロッパではオペラは昔から市民の第一の娯楽でしたから、オペラハウスも歴史のあるものがほとんどです。バルセロナのオペラハウスは19世紀のものでしたが、焼けてしまったので、オリジナルとまったく同じに再建されました。こういう劇場に行くときは、やっぱり改まった服装をしていきたいですね。
ヨーロッパ中あちこちのオペラハウスに行きましたが、リセウ劇場は中でもかなり素敵なほうで、そういう素敵な劇場がすんでいるところにあるというのはとてもうれしいことです。こういうものは文化ですものね。
ヨーロッパではオペラは昔から市民の第一の娯楽でしたから、オペラハウスも歴史のあるものがほとんどです。バルセロナのオペラハウスは19世紀のものでしたが、焼けてしまったので、オリジナルとまったく同じに再建されました。こういう劇場に行くときは、やっぱり改まった服装をしていきたいですね。
ヨーロッパ中あちこちのオペラハウスに行きましたが、リセウ劇場は中でもかなり素敵なほうで、そういう素敵な劇場がすんでいるところにあるというのはとてもうれしいことです。こういうものは文化ですものね。
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by
gyuopera at 2012-04-29 04:37
♪ Shin's mamaさん、こんばんは。
魔笛はなんといっても私が一番好きなオペラなので、私なりの解説もある程度できるんです。出てくる局もずいぶん何度も演奏していますしね。
チューリッヒのオペラハウスは小さいけれど、とても素敵だと思います。20回以上行ってるかな。モーツァルトなんか聞くには最高ですね。
チューリッヒで聞いた魔笛はモズクが夜の女王を歌ってすばらしかったけれど、タミーノもパミーナも、また演出も、残念ながらあまり好きではなかったんです。
魔笛はなんといっても私が一番好きなオペラなので、私なりの解説もある程度できるんです。出てくる局もずいぶん何度も演奏していますしね。
チューリッヒのオペラハウスは小さいけれど、とても素敵だと思います。20回以上行ってるかな。モーツァルトなんか聞くには最高ですね。
チューリッヒで聞いた魔笛はモズクが夜の女王を歌ってすばらしかったけれど、タミーノもパミーナも、また演出も、残念ながらあまり好きではなかったんです。