2010年 01月 28日
シューマンの「詩人の恋」 "Dichterliebe" de Schumann |
昨日、久しぶりで音楽学校に行きました。
今は個人レッスンは止めて、アンサンブルのクラスだけなのですが、以前と少しも変わらず、先生と一対一の個人レッスン(笑)。
今年はロマンチシズムの年で、特にシューマンの曲をやりたい、という先生。次のコンサートのことですな。
シューマンのフルート曲といったら、すぐ「3つのロマンス(もとはクラリネットのためらしいのですが)」。ところが、先生が取りだした楽譜が、シューマンの「詩人の恋」。
ああ、あのあまりにも美しいリ-ダークライス。
「これを歌じゃなくて、フルートで吹いてみたいと思うんだけど。たとえば、先に詩を読んで、演奏する、とか」
なるほど・・・ どうせドイツ語で歌っても、言葉が分かる人は、おそらくここの学校の父兄じゃ一人もいないでしょうしね。 読む詩は、どうせカタラン語になるんでしょうね。あのハイネの詩がカタラン語ね。
「じゃ、やってみよう」
先生がピアノを弾き始めました。 先生、その出だし、もう少し優しく弾いてください。
ああ、フルートでそんなに感情をこめて吹けるかしら。
4番のWenn ich in deine Augen seh' (君の瞳に見入る時) 、
あ、先生、そこんとこ、もう少しあけてください。 Ich liebe dich(あなたを愛しています), といったあとですよ、つまり、Te quieroですな。
スペイン語に訳した途端、ドイツリートがラテンの響きになって、吹き出しそうになりました。
ざっと内容をスペイン語に訳してあげるのですが、スペイン語とドイツ語じゃ大変な響きの違いです。全然感じが違う・・・
演奏がすすみ、13番、Ich hab' im Traum geweinet (僕は夢の中で泣いた)
うぇ、これフラット6個も付いてる。 初めは伴奏なし。
”僕は・・・夢の中で・・・泣いた・・・”
胸がいっぱいになって、吹けなくなってしまいました。
”目が覚めても、涙が流れ続けた・・・・”
もう駄目です。涙が出てきてしまいました。
「それはどういう情景?」
「泣いているんです。夢の中で。目が覚めても・・・」
時間切れで最後まで吹けませんでしたが、先生は大満足。
「弾いていてすごく楽しめる。この次最後までやりましょ」
家に帰って、早速CDを探しました。
私が一番好きなのは、テノールのフリッツ・ブンダーリヒ、伴奏がギーゼンのもの。
プライもフィッシャー・ディスカウも好きだけれど、「詩人の恋」はどうしてもテノールの声で聞きたい。
ブンダーリヒの水車小屋はそんなに好きではないんだけれど、これはとてもいいと思う。
YouTubeで見つけたので、聴いてください。
CDとして発売はされなかったけれど、アライサの詩人の恋は本当に感動的でした。
↓クリックしていただけると励みになります。どうぞよろしくお願いいたします。
今は個人レッスンは止めて、アンサンブルのクラスだけなのですが、以前と少しも変わらず、先生と一対一の個人レッスン(笑)。
今年はロマンチシズムの年で、特にシューマンの曲をやりたい、という先生。次のコンサートのことですな。
シューマンのフルート曲といったら、すぐ「3つのロマンス(もとはクラリネットのためらしいのですが)」。ところが、先生が取りだした楽譜が、シューマンの「詩人の恋」。
ああ、あのあまりにも美しいリ-ダークライス。
「これを歌じゃなくて、フルートで吹いてみたいと思うんだけど。たとえば、先に詩を読んで、演奏する、とか」
なるほど・・・ どうせドイツ語で歌っても、言葉が分かる人は、おそらくここの学校の父兄じゃ一人もいないでしょうしね。 読む詩は、どうせカタラン語になるんでしょうね。あのハイネの詩がカタラン語ね。
「じゃ、やってみよう」
先生がピアノを弾き始めました。 先生、その出だし、もう少し優しく弾いてください。
ああ、フルートでそんなに感情をこめて吹けるかしら。
4番のWenn ich in deine Augen seh' (君の瞳に見入る時) 、
あ、先生、そこんとこ、もう少しあけてください。 Ich liebe dich(あなたを愛しています), といったあとですよ、つまり、Te quieroですな。
スペイン語に訳した途端、ドイツリートがラテンの響きになって、吹き出しそうになりました。
ざっと内容をスペイン語に訳してあげるのですが、スペイン語とドイツ語じゃ大変な響きの違いです。全然感じが違う・・・
演奏がすすみ、13番、Ich hab' im Traum geweinet (僕は夢の中で泣いた)
うぇ、これフラット6個も付いてる。 初めは伴奏なし。
”僕は・・・夢の中で・・・泣いた・・・”
胸がいっぱいになって、吹けなくなってしまいました。
”目が覚めても、涙が流れ続けた・・・・”
もう駄目です。涙が出てきてしまいました。
「それはどういう情景?」
「泣いているんです。夢の中で。目が覚めても・・・」
時間切れで最後まで吹けませんでしたが、先生は大満足。
「弾いていてすごく楽しめる。この次最後までやりましょ」
家に帰って、早速CDを探しました。
私が一番好きなのは、テノールのフリッツ・ブンダーリヒ、伴奏がギーゼンのもの。
プライもフィッシャー・ディスカウも好きだけれど、「詩人の恋」はどうしてもテノールの声で聞きたい。
ブンダーリヒの水車小屋はそんなに好きではないんだけれど、これはとてもいいと思う。
YouTubeで見つけたので、聴いてください。
CDとして発売はされなかったけれど、アライサの詩人の恋は本当に感動的でした。
↓クリックしていただけると励みになります。どうぞよろしくお願いいたします。
by gyuopera
| 2010-01-28 07:07
| フルート flauta
|
Comments(6)
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by
alphie
at 2010-01-28 07:35
x
ヴンダーリッヒに、私も一票。
夏の初めの夕暮れ時、水割りを片手にこのCDを聴くと
50肩の痛い私ですらとてつもない郷愁に襲われます。
YouTubeかどこかでギーゼンが
ヴンダーリッヒとのコラボを回想している映像を見ました。
何を言っているんだか皆目理解できませんでしたが
それでも、内容を勝手に想像して大いに感動したりして。
夏の初めの夕暮れ時、水割りを片手にこのCDを聴くと
50肩の痛い私ですらとてつもない郷愁に襲われます。
YouTubeかどこかでギーゼンが
ヴンダーリッヒとのコラボを回想している映像を見ました。
何を言っているんだか皆目理解できませんでしたが
それでも、内容を勝手に想像して大いに感動したりして。
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gyuopera at 2010-01-28 16:02
♪ alphieさん、おはようございます。反応してくださる方がいてうれしい!
「詩人の恋」、ヴンダーリッヒの人気は高いようですね。「水車小屋」もだけれど、この2つは私はテノールで聴きたいんですね。「冬の旅」はどちらも好きなんですけれどね。
ちょっと苦手なシューマンも、こればっかりはあまりの美しさ・切なさに泣けますねぇ。特にピアノパートの美しいこと。感動・感動・感動です。
ギーゼンの回想のYouTube、うまく探せませんでしたが、もうちょっと頑張って探してみます。
「詩人の恋」、ヴンダーリッヒの人気は高いようですね。「水車小屋」もだけれど、この2つは私はテノールで聴きたいんですね。「冬の旅」はどちらも好きなんですけれどね。
ちょっと苦手なシューマンも、こればっかりはあまりの美しさ・切なさに泣けますねぇ。特にピアノパートの美しいこと。感動・感動・感動です。
ギーゼンの回想のYouTube、うまく探せませんでしたが、もうちょっと頑張って探してみます。
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alphie2
at 2010-01-28 18:32
x
ARTE のドイツ語ドキュメンタリーの一部だったようです。
第4部の後半、ヘルマン・プライの後にギーゼン爺さん登場です。
ttp://www.youtube.com/watch?v=1HxwmRgaNAI
私がこのCDに出会ったのは、
France Musique というラジオ局の「演奏家を迎えて」、
みたいなインタヴュー番組を通して。
「私の一枚」、みたいな愛聴盤紹介コーナーで
その日のゲストのフランス人バロックヴァイオリン奏者(女性)が
ヴンダーリッヒの歌声のお蔭で
苦手意識のあったシューマンに一歩近づくことができたと語っていました。
歌声ももちろん素晴らしいけど、爺さんのピアノの
なんかとんでもないくらいの抒情にも
私は未だに口が塞がらない思いで聴いています。
第4部の後半、ヘルマン・プライの後にギーゼン爺さん登場です。
ttp://www.youtube.com/watch?v=1HxwmRgaNAI
私がこのCDに出会ったのは、
France Musique というラジオ局の「演奏家を迎えて」、
みたいなインタヴュー番組を通して。
「私の一枚」、みたいな愛聴盤紹介コーナーで
その日のゲストのフランス人バロックヴァイオリン奏者(女性)が
ヴンダーリッヒの歌声のお蔭で
苦手意識のあったシューマンに一歩近づくことができたと語っていました。
歌声ももちろん素晴らしいけど、爺さんのピアノの
なんかとんでもないくらいの抒情にも
私は未だに口が塞がらない思いで聴いています。
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gyuopera at 2010-01-28 20:21
♪ alphieさん、サイトを教えてくださってどうもありがとうございます。
今、一気に1-7まで見ました。そして改めて、ヴンダーリッヒの素晴らしい声に感動しました。
「お友達」のドイツ語はなまりがあってちょっと聞き取りにくかったですが、ほかは本当にはっきりわかり、感無量でした。
彼の歌ったタミーノ、後宮、そして素晴らしいリートの数々・・・。これらは彼を超える歌手は出ていないでしょう。本当に素晴らしい・・・!!
「セビリア」と「オネーギン」はドイツ語なんですね。昔はみんな母国語で歌ったようですね。若いプライも見れて楽しかった。
教えてくださってありがとうございます。
今、一気に1-7まで見ました。そして改めて、ヴンダーリッヒの素晴らしい声に感動しました。
「お友達」のドイツ語はなまりがあってちょっと聞き取りにくかったですが、ほかは本当にはっきりわかり、感無量でした。
彼の歌ったタミーノ、後宮、そして素晴らしいリートの数々・・・。これらは彼を超える歌手は出ていないでしょう。本当に素晴らしい・・・!!
「セビリア」と「オネーギン」はドイツ語なんですね。昔はみんな母国語で歌ったようですね。若いプライも見れて楽しかった。
教えてくださってありがとうございます。
gyuさん、この記事を眼にしたとき、凄いとは思ったんですけど、あまりに高度な内容で、付いてけてませんでした。ドイツ語のことだとか、六つのフラットだとか、もう宇宙的スケールだと・・・逃げちゃったんです。わたしのリコーダー教則本では三つ以上は却下ね。それでもキュウキュウとしているんですから。だけど、曲に接してあらためてエールを送りたいと思います。憧れます。
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gyuopera at 2010-01-29 01:40
♪ oteboxさん、こんばんは。
高度って・・・? フラット6個はあららら・・・っていう感じでしたけれど、とてもゆっくりした曲ですので、なんとか吹けました。
ドイツ語は5年学校に通ったんですよ。だから、ある程度は理解できますが、ボキャブラリーが少ないからね。でもリートは分かりやすい。
曲をお聞きになりました? 素敵でしょう? 彼の声も素晴らしいけれど、ピアノのパートがあまりにきれいで涙が出てしまいます。その美しさを感じたらそれでいいと思います。音楽は理屈をこねまわすんじゃなくて、感じるものなんですもの。
高度って・・・? フラット6個はあららら・・・っていう感じでしたけれど、とてもゆっくりした曲ですので、なんとか吹けました。
ドイツ語は5年学校に通ったんですよ。だから、ある程度は理解できますが、ボキャブラリーが少ないからね。でもリートは分かりやすい。
曲をお聞きになりました? 素敵でしょう? 彼の声も素晴らしいけれど、ピアノのパートがあまりにきれいで涙が出てしまいます。その美しさを感じたらそれでいいと思います。音楽は理屈をこねまわすんじゃなくて、感じるものなんですもの。