2009年 04月 13日
San Pau del Camp修道院 |
セマナ・サンタ(聖週間、イースター)の一番大切なミサは、復活の日のミサでしょう。
スペインではイエスの復活した聖日曜日の12時に行われます。
カトリック信者でもない私が、一度も参列したことがなかったそのミサに行く気になったのは、ソプラノの友人がそのミサで歌うから、と誘ってくれたからでした。その教会は、San Pau del Camp修道院の礼拝堂。
San Pau del Camp修道院は、バルセロナに現存するロマネスク様式の教会で、いちばん古い教会なのです。
この教会の始まりは10世紀にさかのぼります。バルセロナ伯 Wifredo II世、Guifré Borrell伯((874-Barcelona, 911)の墓石が、16世紀になってからこの教会で見つかったので、亡くなった911年以前にかなり大きな規模の教会であったということがわかったのです。
名前の由来は、「野原の中の聖パウロ教会」、つまり、バルセロナの町を守るためにローマ時代に作られた壁の外に位置し、野原の中にポツンとあったからだということです。
市壁の外ということで、このベネディクト派修道院は何度も外敵に襲われました。
985年には Almanzor(当時、スペインの大半はアラブの配下にあったので、カタルーニャにも何度となく兵が送られたのです)の軍に徹底的に破壊され、その後は修道院ではなく、教会として存続しました。
1096年に再建されましたが、再び1114年に襲撃の憂き目に会っています。
その後モンセラットやサン・クガットの修道院と合体したり、さらには学校になったり兵舎になったりして、建物は荒廃していましたが、1936年に国の重要文化財に指定されて以来、修復されて今にいたっています。
こちらの側から見ると、本当に野原の中にあるように見えるでしょう。
本当はこんな町中にあるのです。
正面入口は13世紀から14世紀のゴシック様式
入口の両脇にある柱は西ゴートの時代の11~12世紀のもので、大理石の柱頭が付いています。
その上の鴨居に刻まれた碑文は今ではほとんど見えませんが、その上の半円の中のレリーフは、キリストをはさんで、聖ペドロと聖パブロ。 その両側が、聖マルコを表すライオンと、 聖ルカを表す雄牛。
さらに情報に、聖マタイを表す天使と、聖ファンを表すワシ。 真中にあるのは神の手。
半円の枠もよく見ると魚がいたり人の顔があったり。
建物の後ろ側
脇にあるドア
建物の平面図はこんな具合で、小さな回廊が付いています。
この様式の建物としては変わっていて、普通教会はギリシャ十字の形をしていて、縦のラインを身廊、横のラインを袖廊と呼びますが、この教会では身廊は半円の後陣(アプス)が付いて、袖廊にも身廊の左右に並んでアプスが付いています。
ミサでは盛んに香の煙をボタフメイロでふりまき、むせるほどでした。
すべてカタラン語なので、歌やぶつぶつつぶやくのはできませんでした。
ミサの間に、Lluisのオルガンの伴奏でPatriciaが歌います。
「今度やる時は、ミサの前30分くらいに君がフルートを吹いてもいいじゃない?」
と言われました。宗教曲ね。
ミサが終わると、パティオの回廊も見ることができました。
それについてはまた長くなりすぎるので、この次に。
↓クリックしていただけると励みになります。どうぞよろしくお願いいたします。
スペインではイエスの復活した聖日曜日の12時に行われます。
カトリック信者でもない私が、一度も参列したことがなかったそのミサに行く気になったのは、ソプラノの友人がそのミサで歌うから、と誘ってくれたからでした。その教会は、San Pau del Camp修道院の礼拝堂。
San Pau del Camp修道院は、バルセロナに現存するロマネスク様式の教会で、いちばん古い教会なのです。
この教会の始まりは10世紀にさかのぼります。バルセロナ伯 Wifredo II世、Guifré Borrell伯((874-Barcelona, 911)の墓石が、16世紀になってからこの教会で見つかったので、亡くなった911年以前にかなり大きな規模の教会であったということがわかったのです。
名前の由来は、「野原の中の聖パウロ教会」、つまり、バルセロナの町を守るためにローマ時代に作られた壁の外に位置し、野原の中にポツンとあったからだということです。
市壁の外ということで、このベネディクト派修道院は何度も外敵に襲われました。
985年には Almanzor(当時、スペインの大半はアラブの配下にあったので、カタルーニャにも何度となく兵が送られたのです)の軍に徹底的に破壊され、その後は修道院ではなく、教会として存続しました。
1096年に再建されましたが、再び1114年に襲撃の憂き目に会っています。
その後モンセラットやサン・クガットの修道院と合体したり、さらには学校になったり兵舎になったりして、建物は荒廃していましたが、1936年に国の重要文化財に指定されて以来、修復されて今にいたっています。
こちらの側から見ると、本当に野原の中にあるように見えるでしょう。
本当はこんな町中にあるのです。
正面入口は13世紀から14世紀のゴシック様式
入口の両脇にある柱は西ゴートの時代の11~12世紀のもので、大理石の柱頭が付いています。
その上の鴨居に刻まれた碑文は今ではほとんど見えませんが、その上の半円の中のレリーフは、キリストをはさんで、聖ペドロと聖パブロ。 その両側が、聖マルコを表すライオンと、 聖ルカを表す雄牛。
さらに情報に、聖マタイを表す天使と、聖ファンを表すワシ。 真中にあるのは神の手。
半円の枠もよく見ると魚がいたり人の顔があったり。
建物の後ろ側
脇にあるドア
建物の平面図はこんな具合で、小さな回廊が付いています。
この様式の建物としては変わっていて、普通教会はギリシャ十字の形をしていて、縦のラインを身廊、横のラインを袖廊と呼びますが、この教会では身廊は半円の後陣(アプス)が付いて、袖廊にも身廊の左右に並んでアプスが付いています。
ミサでは盛んに香の煙をボタフメイロでふりまき、むせるほどでした。
すべてカタラン語なので、歌やぶつぶつつぶやくのはできませんでした。
ミサの間に、Lluisのオルガンの伴奏でPatriciaが歌います。
「今度やる時は、ミサの前30分くらいに君がフルートを吹いてもいいじゃない?」
と言われました。宗教曲ね。
ミサが終わると、パティオの回廊も見ることができました。
それについてはまた長くなりすぎるので、この次に。
↓クリックしていただけると励みになります。どうぞよろしくお願いいたします。
by gyuopera
| 2009-04-13 07:25
| 建物 edificio
|
Comments(12)
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woodstove at 2009-04-13 12:51
gyuさんのブログを拝見して、少しづつですがスペインのそのカタルーニャの
歴史を知ることができますね。 この時代に、すでに石でアーチとかドームが作られたんですね。。。石組みの技術の凄さを感じますね。
歴史を知ることができますね。 この時代に、すでに石でアーチとかドームが作られたんですね。。。石組みの技術の凄さを感じますね。
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gyuopera at 2009-04-13 16:43
♪ woodstoveさん、おはようございます。
この教会はなかなか内部が見られないので、今回は勇んでいきました。
何度も破壊され、修復されていますが、すごいと思いました。
カタルーニャ地方には、1000を超すロマネスク教会が残っていますが、バルセロナ市内できちんと残っているのはここのみ、大変貴重な文化遺産です。外から見るとそんなに大きくは見えなかったのですが、内部礼拝堂は結構広くて驚きました。パイプオルガンはなく、普通のオルガンでした。
また回廊がよかったです。小さいんですけれどね。
この教会はなかなか内部が見られないので、今回は勇んでいきました。
何度も破壊され、修復されていますが、すごいと思いました。
カタルーニャ地方には、1000を超すロマネスク教会が残っていますが、バルセロナ市内できちんと残っているのはここのみ、大変貴重な文化遺産です。外から見るとそんなに大きくは見えなかったのですが、内部礼拝堂は結構広くて驚きました。パイプオルガンはなく、普通のオルガンでした。
また回廊がよかったです。小さいんですけれどね。
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MANU
at 2009-04-13 19:08
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本当に貴重ですね。すごい歴史を感じます。
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mobiliantichi at 2009-04-13 19:47
こういう教会が私は一番好きです。ほんとうにここでミサに参加したら、私も思わずカトリックになってしまうかも。
やっぱりスペイン、ヨーロッパってすごいなあと、また再確認しました。
やっぱりスペイン、ヨーロッパってすごいなあと、また再確認しました。
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pu-yan
at 2009-04-13 21:15
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gyuopera at 2009-04-13 21:58
♪ MANUさん、こんにちは。
歴史のある建物は、やっぱり何かを語ってくれますね。
古いとは知っていましたが、そんなに長い歴史のある建物だとは知りませんでした。調べていて、いろいろわかって面白かったです。
歴史のある建物は、やっぱり何かを語ってくれますね。
古いとは知っていましたが、そんなに長い歴史のある建物だとは知りませんでした。調べていて、いろいろわかって面白かったです。
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gyuopera at 2009-04-13 22:08
♪ mobiliさん、こんにちは。
こういう教会、たぶんイタリアにもたくさんあるんじゃないでしょうか。
スペインはイスラムに支配される前、西ゴート王国があったわけですが、それはゲルマン系なのですね。ヨーロッパは地続きなので、古代から侵略したりされたり、簡単に国境が変わり、ずいぶん複雑な歴史をたどっていますが、こういう古い建築にその名残を見ることができておもしろいですね。
こういう教会、たぶんイタリアにもたくさんあるんじゃないでしょうか。
スペインはイスラムに支配される前、西ゴート王国があったわけですが、それはゲルマン系なのですね。ヨーロッパは地続きなので、古代から侵略したりされたり、簡単に国境が変わり、ずいぶん複雑な歴史をたどっていますが、こういう古い建築にその名残を見ることができておもしろいですね。
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gyuopera at 2009-04-13 22:12
♪ pu-yanさん、こんにちは。
ここはちゃんと内部を見ることができるんだそうです。
住所は calle de Sant Pau nº 101 、火~土曜日10:00~14:00、午後月~金17:00~20:00だそうです。
地下鉄のParallelからすぐ近くです。詳しくはこちらをどうぞ。
://webs.ono.com/santpaudelcamp/cas/informacion.htm
ここはちゃんと内部を見ることができるんだそうです。
住所は calle de Sant Pau nº 101 、火~土曜日10:00~14:00、午後月~金17:00~20:00だそうです。
地下鉄のParallelからすぐ近くです。詳しくはこちらをどうぞ。
://webs.ono.com/santpaudelcamp/cas/informacion.htm
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granollers at 2009-04-13 23:36
こんにちは。
この教会、Ravalからparal-lelに抜ける途中にある教会ですか? 以前、前を通った時に、古そうな教会だとは思ったのですが、そんな歴史があったとは。今度機会があったら、中も見てみようと思います。
この教会、Ravalからparal-lelに抜ける途中にある教会ですか? 以前、前を通った時に、古そうな教会だとは思ったのですが、そんな歴史があったとは。今度機会があったら、中も見てみようと思います。
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YuccaR at 2009-04-14 00:21
ロマネスクの原型みたいな教会ですね。こういう貴重なものがすぐそばにあるとはいいですね。ロマネスク教会を訪ねてヨーロッパの田舎を巡るのが、若い時の私の夢でしたが・・ハテどこへ行ったかな?変わりにgyuさんの写真で訪ねられてありがたいです。
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gyuopera at 2009-04-14 03:46
♪ にきびさん、こんばんは。
そうです。Paral-lellの駅のすぐ近くですね。ぜひ今度内部もご覧になってください。このくらい古いものって、なんか心に響くものがありますね。
それが今もミサが行われているのだからすごいと思いました。
そうです。Paral-lellの駅のすぐ近くですね。ぜひ今度内部もご覧になってください。このくらい古いものって、なんか心に響くものがありますね。
それが今もミサが行われているのだからすごいと思いました。
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gyuopera at 2009-04-14 03:50
♪ Yuccaさん、今晩は。
ロマネスク教会を訪ねてヨーロッパを回っている人が、意外と多いのに驚いています。カタルーニャの場合、だいたいが交通の不便な山の中にあって、車でも結構行くまでに大変なんですよね。
今度バルセロナにいらっしゃる方も、フランスからずっとロマネスクの教会めぐりをしていらっしゃるそうです。
バルセロナではここが一番古く完全な形で残っています。そのほかのロマネスク教会は、のちのゴシックの様式がかなり取り入れられたものが多いです。
ロマネスク教会を訪ねてヨーロッパを回っている人が、意外と多いのに驚いています。カタルーニャの場合、だいたいが交通の不便な山の中にあって、車でも結構行くまでに大変なんですよね。
今度バルセロナにいらっしゃる方も、フランスからずっとロマネスクの教会めぐりをしていらっしゃるそうです。
バルセロナではここが一番古く完全な形で残っています。そのほかのロマネスク教会は、のちのゴシックの様式がかなり取り入れられたものが多いです。