リセウのオペラ 「ニュールンベルグのマイスタージンガー」

昨夜はリセウ劇場で、ワーグナーのオペラ「ニュールンベルグのマイスタージンガー」を見ました。

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今回のオペラはアボノに入っていなかったので、チケットは別に購入したのですが、それでも満席。
ところが、長いオペラですから、第三幕目には、空席があちこち見られました。 最後の幕が一番盛り上がるのにね。




結論から言って、歌手たちは申し分ありませんでした。

特にザックスを歌ったAlbert Dohmen(ドイツ)は、深く温かみのある声で、演技も自然でとても素敵でした。
私は初めて聞いたけれど、すでに世界中で活躍していて、ワーグナーがお得意のようです。 ザックスを歌った声は、Struckmannを思い出しました。彼のザックスは何度もベルリンで聞いています。

エーファ(Veronique Gens)やマグダレーナ(Stella Grigorian)もキンキンせずよかった。一般にキンキン声を出す歌手が多くて、そういうのは私の好みじゃない。

ワルターはRobert dean Smith(アメリカ), ヘルデンテノールとしてワーグナーを片っ端から歌っているだけあって、さすがの貫録でした。幾分若々しさに欠けるところはあったけれど、実際の年齢がザックスを歌ったDohmenと同じなのだから仕方がないかも。

エーファの父ポグナー役が、Reinhard Hagen(ドイツ)。 それは深い素敵なバスですが、1961年生まれだそうな。非常に大柄などっしりした体格で、リセウで以前ザラストロを歌っています。

Beckmessar役がBo Skovhus(デンマーク)。すらりと背が高く、ルックスも良くて、25歳の時ウィーンでドン・ジョバンニでデビューという、素敵な声のバリトン。 それなのに、今回のベックメッサー役は、さんざんコケにされてかわいそう。 
これは演出家の意図と思いますが、私は気に入りません。なぜなら、ベックメッサーは、そりゃ小意地の悪いところはありますが、ニュールンベルグきっての知識人なのですから。それをロバの頭をかぶせられ、服を脱がされ、さんざん馬鹿にして笑いものにされるのは間違いだと思います。

演出は Claus Guth, ドレスデンオペラで使ったものですが、あまり意味のないものが多くて、好きではありませんでした。
指揮はSebastian Weigle, オーケストラは音量が大きすぎて、ステージの奥のほうで歌っている歌手たちの声をさえぎり、残念。それに演奏自体もあまり好きじゃないところが時々あったかな。

ステージの写真は、いつもながらリセウ劇場のHPからお借りしています。

第一幕、教会でエーファを見染めた騎士ワルターが、エーファの花婿になるためには歌合戦で優勝しなければならない、ということを聞き、集まったマイスターたちの前で試験の歌を歌いますが、歌のややこしい規則に合わず、ベックメッサー筆頭のマイスターたちに「失格」を言い渡されます。

これはマイスターたちが集まり、制服の上っ張りを着て会議を始めるところ。 
ケースの中に、ニュールンベルグの家々が飾られています。
ダビッドはじめ、徒弟たちはみんな半ズボン。

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第二幕、ポグナーと娘のエーファが夜話しているところ。左端にちょっと見えるのは、巨大なリラの花が大きな窓からにゅっと出ているのです。
ステージはいずれも白が基調で、蛍光灯のような光、冷たい感じ。

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エーファはワルターの試験の歌がどうだったか気になってたまらないのですが、隣に住むザックスが外で靴を直しているので、結果を聞くため、ザックスに私を妻として入れてくれないか、と誘いをかけます。

ワルターが歌の試験に失敗したことを聞いてがっかりしているところにワルターがやってきて、エーファに駆け落ちしよう、と提案、二人で出ようとすると、リュートを引きながらベックメッサーがエーファの家の窓の下で歌を歌いにやってきます。
窓の中にいるのはマグダレーナが身代わりになっているのですが、ステージでは窓に明かりがついているだけで見えない。これでは、恋人のダビッドがそれを見て怒ってザックスに殴りかかる理由が分からなくなります。
ワルターとエーファの駈け落ちの話を聞いてしまったザックスは、阻止しようと大きな音で靴を直しながらハンマーで叩きまくり、ベックメッサーの歌を台無しにします。
ここでベックメッサーはロバの頭をかぶせるられるのですが、それは本当に意味のない演出だと思いました。
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その騒ぎで近所の人が起こされて、迷惑がおで集まってくる、そしてしまいには大喧嘩になるんですが・・・
本来ならば、とても面白い場面なんですが、この演出では全然面白くない。

ベックメッサーが裸にされパンツに血がにじみ、家に縛り付けられている。
騒ぎの後、村中の人がさんざんに散らかして、地面にひっくり返っている。本来ならならみんな腹を抱えて笑うところなのです。今回のは本当にナンセンスなステージ。

騒ぎが終わり、また静けさが戻ります。夜景が角笛を吹きながら通りかかるのも、ゴミ清掃係になっています。
チョイ役なのに、素敵な声のバスはMagnus Baldvinsson(アイスランド)。
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第三幕、ザックスの家の中。ザックスのバーン・モノローグ。(迷いのモノローグ)
エーファを心から愛しているザックスは、それが親のような気持であったのを、エーファに挑発されて心が揺れている、そんな思いをふっ切り、ワルターに歌の作り方を指導します。

登場人物と同じ服装をさせた等身大の人形がごろごろ置いてあったけれど、これもあまり意味がない。

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ワルターとザックスが奥に引っ込むと、ベックメッサーがやってきて、ワルターの歌をザックスが書き取った紙を見つけ、懐に忍ばせます。
戻ったザックスが、自分は歌合戦に出ないから、先ほど書き取った歌をベックメッサーに与えるというと、彼は昨夜の失敗にひどくダメージを受けたので、小躍りして退場。

続いて、ヨハネス祭の場面に変わりますが、お祭りの賑やかな場面のはずなのに、ゴミ清掃のグループが登場、さんざん散らかったステージをきれいにし、邪魔なものを取り除き、それからみんなの入場です。
お祭りだから着飾っていてもいいと思うのに、みんな職業のままの服。チョイ、つまらない。

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ザックスの悪筆のため、歌を間違って覚え、さんざんみんなの笑いものになったベックメッサー退場の後、颯爽とワルター登場、完成した詩を見事に歌い上げ、エーファと晴れて結婚できることになりますが、マイスターの称号を断ります。

ザックスがそれをたしなめ、マイスターがどれだけドイツに尽くしてきたかをこんこんと説き聞かせ(これがヒットラーのお気に入りの原因だったのでしょう)、ワルターもそれを納得、ハッピーエンドとなります。
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7時始まりで2回の休憩をはさんで終わったら夜中の1時。流石疲れました。歌手たちはどんなに疲れることでしょう。
ただ、この演出でもう一度見たいとは思わないな。

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Commented by woodstove at 2009-04-09 18:47
歌劇はいまだに鑑賞したことがありません。
バレエはありますが。。。。
しかし、私が思い描いていたモノよりモダンですね。。。
新しい手法ですかねぇ。。。。(^^;)
しかし長時間ですね。。。ボクは寝てしまうかも。。。。(´▽ `;)>
Commented by MANU at 2009-04-09 19:39 x
2月にポッペアをリセウで見たときもgyuさんの解説がとても助かりました。このオペラも斬新なモデルノな演出ですね~。
Commented by TAKA at 2009-04-09 20:41 x
歴史を感じる、素晴らしいホールですね。

しかも、マイスタージンガーとは、私も往きたいです(笑。
Commented by gyuopera at 2009-04-09 21:18
♪ woodstoveさん、こんにちは。オペラはどれもいいとは限りません。
相当好き嫌いがありますしね。それに演出によって良くも悪くもなる。やっぱり音楽だけじゃないんですね。
最近はこういうモダンな演出が多く、それがぴったり音楽と合っていればいいのですが、奇をてらったり注目を浴びるためにsexを強調したりが目立ち、そういうのは品がなく好きではありませんし、二度みたいとは思いません。かといって、オーソドックス一本やりもつまらないので難しいところ。
マイスタージンガーは、オペラの中ではたぶんいちばん長いでしょうね。それをあきさず観客を引っ張ってゆく魅力的な演出でなければ、みんな帰ってしまいますよ。
Commented by gyuopera at 2009-04-09 21:27
♪ MANUさん、こんにちは。
バルセロナのリセウでポッペアを見られたのですね。あれも長かったでしょう。あの演出も、実はそんなに好きではなかったのですけれど。

マイスタージンガーはずいぶんいろいろなところで見ましたが、ベルリンのハリー・クプファーの演出が最高でした。とにかく観客を徹底して楽しませてくれる。こんなに長いオペラは、それがないと退屈させないでおくのは難しいですね。
Commented by gyuopera at 2009-04-09 21:37
♪ TAKAさん、こんにちは。
このオペラハウスは1847年に建てられたのですが、2度の火災にあっていて、最後に焼けたのが1994年、元通り再建されたのが1999年です。ホールは全部焼けてしまいましたが、幸いなことに、上から3番目の鏡の間は焼けなかったので、修復はされましたが、今でも美しい昔の姿のままです。
マイスタージンガーは、リセウでは初めて上演されたもので、歌手はみんなとても素晴らしかったのですが、演出に不満が残りました。
Commented by MANU at 2009-04-10 08:06 x
そうポッペアも長かったです。眠かった。でもリセウ劇場でオペラ見たかったので頑張って最後までみました。チケット売り場でどの席にするかさんざん迷い上手三階バルコン席にしました。お洒落して地下バルでCAVAを飲み観劇しましたよ!gyuさんブログのおかげです!オペラ通なgyuさん、またオペラ教えてくださいね。
Commented by gyu at 2009-04-10 19:16 x
♪ MANUさん、こんにちは。 
リセウ劇場は、やっぱりちょっとおしゃれしていきたいですね。いくら旅行者でも、オペラを見るつもりなら、ちょっとフォーマルな服を持っていきたいですね。ジーンズやスニーカーでは、周りの雰囲気を壊すし、何より演奏者に敬意を表していないと思います。たまに見かけますよ。同じ東洋人として、とても不快な気分になります。
以前私もカバを飲んでいたのですが、げっぷが出るので、オレンジジュースにしました。
この日は2度も休憩があり、はじめのは40分もあったので、小さなボカディージョとコーヒーをいただきましたが、なかなかおいしかったです。
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by gyuopera | 2009-04-09 16:51 | オペラ、コンサート musica | Comments(8)

私と一緒にバルセロナを散歩しましょう Vamos a pasear conmigo en Barcelona!


by gyuopera