オペラ 「ポッペアの戴冠」

昨夜はリセウ劇場で、モンテヴェルディのオペラ 「ポッペアの戴冠」 を見ました。

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出かけるとき、ちょっと急いでいたので、劇場についてから洗面所に行きました。 そしたらパンツのファスナーが全開じゃありませんか。びっくりしてよく見たら、ファスナーが壊れてしまっていたんです。キャーどうしましょ。 幸い長めのブラウスを着ていたので、しっかり隠すようにして、バッグを前に持っておりました。 出る時気がつかなかったなんて、大失敗。

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バロックオペラなので、オーケストラは普段の劇場のオーケストラではなく、リセウバロックオーケストラ、というのを編成したのだそうです。すべて古楽器を使っているのですね。
オケピットまで見に行きました。

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これはオルガンかしら?
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ティオルバと呼ばれる大型のリュートが何台も。 とても素敵な音で、よく響きます。
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チェンバロが2台
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ビオラ・ダ・ガンバとたくさん弦のある楽器
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リコーダー
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30分の休憩が2度入って4時間かかる長いオペラです。
休憩時間には、チェンバロの調音をしていました。

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さて、オペラのほうは・・・



このオペラはモンテヴェルディの最後のオペラで、バロックオペラの傑作とされています。
1642年に書かれたものですから、当然後世のオペラとは全然違います。
レチタティーヴォが多く、アリアは少ないながらも非常にテクニックを必要とするものが多い。
オペラの構成も、登場人物の中に、「愛」「富」「美徳」などを表す人物が登場。ストーリーを知っていないと、なんだかわかりません。

さらに、男性が裏声を使って(つまりカウンターテナー)女性の役をやったり、女性が男性役を歌う(ローマ皇帝ネローネはソプラノです)という逆もいろいろ出てきて、知らないと戸惑います。

あらすじを手短に言えば、ローマ皇帝ネローネを女性の魅力で惹きつけ、皇后を追い出して自分が皇后の座に着く、という、まさに現代にも通じるテーマです。

ポネル演出のDVDで見慣れていたので、リセウのモダンな演出にはちょっと違和感がありました。というより、なんだかまとまりがなく、混乱してしまいます。

幕が開くと、「富」「美徳」「愛」が論争していますが、「愛」が何よりも強いことをここで証明しよう、というのです。

美しいポッペアと同居しているオットーネ(カウンターテナー)が(本来ならローマの武将)戦地から帰って来ると、家の前に皇帝ネローネの兵隊がいます。彼の家に皇帝が、ということは、ポッペアと一緒に夜を過ごしたことになります。

やがてドアが開き、出てきたネローネ(ソプラノ)を、ポッペアが執拗にひきとめます。そこで皇帝は彼女に、皇后を追い出して、彼女を皇后の座につけようと約束するのです。

皇后オッターヴィアは、夫のネローネ皇帝が愛人を作ったことを嘆きます。
彼女の乳母は、

「それじゃ貴方様も浮気なさったら」

などと勧めますが、哲学者のセネカが、忍耐の徳を説きます。
この場面、ローマの兵隊は古代ローマの衣装なのに、セネカもその弟子たちも皇后も、みんな現代の服で、それも弟子たちはティンティンのような服で違和感があります。

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ネローネがセネカに、皇后オッターヴィアと離婚し、ポッペアと結婚する決心を言うと、セネカはそれをいさめ、口論になってしまいます。

再びネローネと会ったポッペアは、邪魔者であるセネカを消すようほのめかします。
この時のポッペアは、壁に刺してある杭のようなものをよじ登り、スパイダーマンのよう。
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セネカが瞑想していると、皇帝からの使いが来て、自殺命令を告げます。 セネカはそれを喜んで受け入れ、自殺してしまいます。
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一方、オッターヴィアは、オットーネにポッペアを殺すように命じます。
嘆くオットーネは、彼を慕うオッターヴィアの侍女ドルシッラに悩みを打ち明け、彼女の服を借りてポッペアのもとに行きます。

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寝ているポッペアを殺害しようとしますが、「愛」が彼女を守り、ポッペアの乳母(カウンターテナー)が目を覚まして大騒ぎ。殺害はみごと失敗して、オットーネは逃げます。

ポッペア殺害の嫌疑はドルシッラにかかり、オットーネを愛している彼女は、彼の身代りに罪をかぶって死のうとします。
そこに来たオットーネは、皇后に命じられて殺害を企てたのは自分だと言って、一緒に刑を受けようとします。
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皇后オッターヴィアを追放する口実ができたネローネは二人を許し、オッターヴィアに追放命令を出します。
オッターヴィアはローマをさることを嘆くアリアを歌い、王冠をそこにおいて去ってゆきます。
この場面、バックがこんな風で目がチカチカしてしまいます。
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すべての障害が取り除かれ、晴れて皇后の冠を受けるポッペア。
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二人の愛の二重唱が歌われて幕を閉じます。

念願かなって皇后になったポッペアで、オペラはハッピーエンドですが、後年、ネローネ皇帝は、妊娠したポッペアのお腹を蹴って、死なせてしまうのですね。

全体にステージは好きではなかったけれど、歌手たちがみんな素晴らしかったですね。
特に気に入ったのは、その日ネローネを歌ったKate Aldrich。 セネカの Mirco Palazziも素晴らしかった。 古楽器のオーケストラも、とても素敵でした。4時間が少しも長く感じられませんでした。

Youtubeでいくつか見ることができます。
最後のもの以外は、チューリッヒオペラでポネルの演出。アーノンクール指揮。

ポッペアがネローネと別れ、皇后になれるかもしれないと希望を歌う場面


オットーネ(カウンターテナー)がポッペアに振られるところ


皇后オッターヴィアの嘆き。 シュミットの美しい声


セネカの死

若きアーノンクール、貫禄のザルミネン、若きアライサ。


セネカの死を喜ぶネローネとルカーノの二重唱。これはリセウのほうがよかった!


ポッペアがセネカの死を喜び安心して眠りにつくところ


ポッペアの戴冠式の合唱。とても愉快。


最後のネローネとポッペアの二重唱


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Commented by alex at 2009-02-08 10:17 x
おはようございます。
バロックオペラは観たことがないのですが、楽器のイメージから想像していたのと、HPの写真がかけ離れていて、どんなステージだったのかとても興味がわきました。目と耳とがかけ離れていることで、精神世界に行けるのかしら・・・?でも、gyuさんがおっしゃっている「まとまりがない」という感じが伝わってくるような・・・。
それにしても、いつ見てもリセウ劇場は素晴らしいですね。お洋服は直りましたか?
Commented by YuccaR at 2009-02-08 17:47
私は子育て中に決心し、経済上の理由で舞台系の楽しみはあきらめたので、その習慣が続いています。でもこんな立派な劇場で、一度は音楽を聞いてみたいなー。ティオルバという楽器の写真に目が釘付けです。聞いて見たいです。ソロの演奏もありますか?リュートを弾くお友達が多いので。
Commented by mi-san at 2009-02-08 19:52 x
こんにちは。
美しい楽器たち。上手になって触ってみたい。
オペラはまだ未体験だしなんだか敷居が高くてなかなか出会えませんがきっと素敵なのでしょうね。いつか・・・。
Commented by woodstove at 2009-02-08 21:22
視覚効果も凄いですし、現代的な演出にも惹かれますよ。
それと古典楽器による演奏ですか。。。。まさに現代と古典のコラボですよね
。。。その歴史を語るモノですから、日本の歌舞伎や能や狂言にも通じますよね。最近の歌舞伎は徐々に現代に向かいつつあって期待してます。
 オペラも、どんどん開花していく様を伝えていただき感謝します。。
gyuさん どうもありまがとうございます!!!(^^)
Commented by gyuopera at 2009-02-09 05:10
♪ alexさん、こんばんは。バロックオペラはリセウ劇場でもこれでやっと2度目。一度目はモンテヴェルディのオルフェオでした。これもよかった!
どんなオペラか感じがわかるように、Youtubeの営巣をいくつか加えておきましたのでご覧になってください。
最近の舞台はかなり抽象的で、衣装も時代がバラバラの、統一感に欠けるものが多くなりました。いつもこんな感じだと、またか、という思いをぬぐえません。また思いっきりクラッシックに時代に忠実にやるのも面白くありませんから、難しいところでしょうね。パンツはファスナーが壊れちゃったのでね・・・
Commented by gyuopera at 2009-02-09 05:18
♪ Yuccaさん、こんばんは。 私はオペラに目覚めたのはかなり後のことです。昔からクラッシック派ですが、オペラはずっとだめだったのです。
それも、とても好きになった歌手が出るオペラを生で見てから、本当に夢中になりました。今は特にひいきの歌手もいないので、ちょっと興奮が足りない感じもしますが、地元のリセウで満足しています。やっぱり生は素晴らしいと思います。
ティオルバはバロック音楽の演奏会ではよく見かけるようになりました。長いですね。深くとてもいい音です。Youtubeでご覧になれます。
://www.youtube.com/watch?v=iIANAfU2cS4&feature=related
Commented by gyuopera at 2009-02-09 05:23
♪ mi-san,こんばんは。 古楽器って、なぜかとても素敵に見えます。
今の華々しい音を響かせる楽器と違って、もっと奥ゆかしい感じがしますね。昔はコンサートホールで弾いたわけではないので、そんなに大きな音を出す必要もなかったのでしょうね。
オペラはどれでも素敵だとは思いません。演出によっては、途中でてて行きたくなるようなオペラもあります。オーケストラと、演出と、歌手が高いレベルで一致した時は、本当に素晴らしい総合芸術になるものだと思います。オペラは別に高尚なものというわけではありませんよ。
Commented by gyuopera at 2009-02-09 05:30
♪ woodstoveさん、こんばんは。オペラはこんな昔から楽しまれていたのですね。それはwoodstoveさんのおっしゃるように歌舞伎に通じるところがあるかもしれませんね。
ただ、最近の演出は、奇抜さばかり狙ったものが多く、時には音楽の美しさを妨げることもあります。そういう演出は本末転倒のような気がして、私はあまり好きではありません。奇抜でも、コンヴィッツェニーの演出のように、とてもよく考えられていると思うものもあります。
オペラは今でもとても人気がありますから、将来もずっと残ってゆくものではないでしょうか。
Commented by layuri77 at 2009-02-09 16:27
gyuさん こんにちは♪
オリジナル楽器によるモンテヴェルディのオペラをこんな素敵な劇場で鑑賞するなんて~夢のようですね~♪ ヴィヴァルディのリハーサルも頑張ってくださいね^^
Commented by gyuopera at 2009-02-09 17:17
♪ layuriさん、おはようございます。 バロック音楽は、本来ならこんなに大きな劇場で演奏するものではないのかもしれませんが、でオーケストラも声もはっきり聞こえましたし、違和感はありませんでした。
バロックオペラは叫んだりしないし、激しい感情の動きもないのですが、局が好きなせいか、飽きることはありませんでした。
リセウ劇場ではモンテヴェルディの上演はやっと2回目です。この前のオルフェオも素晴らしいものでした。今度はウリッセの帰還をやるかな?
ヴィヴァルディね・・・。
Commented by キーウイママ at 2009-02-09 17:58 x
gyuさん こんにちは  質問があります。

1月13日の午前7時頃、バルセロナのホテルから空港へ向かう途中、リセウ劇場の前を通りました。 

すると、まだ夜明け前なのに人がそれも中高年の人たちが劇場の前に列を作っていました。 

あれはオペラか何かの当日券を求める行列だったのでしょうか? 
高齢者割引でもあったのかしら?

 きちんと並んでいるスペイン人を見たのはまれでしたので、ちょっとお聞きしたいと思いました。
Commented by gyuopera at 2009-02-09 19:57
♪ キーウイママさん、こんにちは。
午前7時に列を作る・・・? うーん、ちょっとわかりません。今、チケット売り場はEspai Liceuという、違う入り口になっています。それに、チケットは午後2時からしか販売しないのですよ。高齢者割引というのもありません。チケットの一年間の前売りは7月なので、その時は朝早くから列を作ることもありますが、1月13日、なんでしょうね。私もわかりません。
Commented by キーウイママ at 2009-02-09 20:49 x
さっそくのお返事ありがとうございました。 

風の影のシーンの写真のページから来ました。
写真とってもすてきですね。

スペインに35年前に訪れたのですが、その時を思い出しました。 

バルセロナは、現在とてもきれいになりましたね。 

35年前もパリよりずっと好きでしたが、以前にもまして好きになりました。 でももう一度訪れることが出来るかは寿命次第ですが。 サイト楽しみにしています。
Commented by gyuopera at 2009-02-10 00:55
♪ キーウイママさん、こんばんは。「風の影」読まれましたか? 今、同じ作者の第二作目が出ていて、やはりバルセロナを舞台にしています。スペイン語で買ったのですが、2ページ目でストップしております(笑)。早く日本語版が出ないかな・・・。 今、ガイド付き「風の影」ツアーというのがあるんだそうですよ。
35年前のスペインとは! 今とずいぶん違うでしょう。きれいにはなったけれど、昔のバルセロナを懐かしむ人も多いですね。
私はやっぱり安全に住めるほうがいいな・・・。
Commented by キーウイママ at 2009-02-10 17:23 x
gyuopera様

35年前はとても安全でしたよ。 

何しろ、そこら中に目つきの悪い憲兵がいましたから…。

 ひったくりやスリも少なく、ゴシック街も歩くことが出来ました。

ただ、人々の目が暗かったのを覚えています。

今は、カタルーニャ語も自由にしゃべって良いのでしょう? 

風の影のツアー 次回は行ってみたいです。 それでは
Commented by gyu at 2009-02-10 17:37 x
♪ キーウイママさん、おはようございます。
そうでしょうね、フランコ圧政時代は、憲兵がすぐしょっ引いてゆくから、犯罪はずっと少なかったようですね。
バルセロナは市民戦争で負けたわけですから、人の目も暗かったと思います。そのつらい時期の思いを忘れようと、人は町の復旧に励みました。最近やっと、その市民戦争の後を守ろうという動きが出てきて、防空壕なども公開されるようになりました。見学しましたが、ものすごく大きくてびっくりしました。
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by gyuopera | 2009-02-08 07:07 | オペラ、コンサート musica | Comments(16)

私と一緒にバルセロナを散歩しましょう Vamos a pasear conmigo en Barcelona!


by gyuopera